【ゲームレビュー14】Half-Life 2 / Half-Life 2:Episode One / Half-Life 2:Episode Two

レビュー一覧

ジャンル シングルFPS(CERO:Z)
メーカー/ブランド Valve
発売年 2004/2006(Ep1)/2007(Ep2)
ハード Steam(Xbox360/PS3)
お気に入り度(0~10+) 8+ / 7(Ep1) / 8(Ep2)
プレイ状況 3作全てエンディング回収/Steam版

 

 

 

実質3本まとめての作品なので、レビューもまとめて書こうと思います。

 

Half-Life 2 とは?

store.steampowered.com

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シングルFPSの歴史を変えたともいわれる名作FPSHalf-Life」の続編です。Steamのセールでは非常に安い値段(200円前後)で買え、PCゲームを始めた多くの人が遊ぶことから、"Steamの義務教育"と呼ぶ人もいます。

Half-Life 2:Episode 1」と「Half-Life 2:Episode 2」は、「Half-Life 2」の直接的な続編になっている作品です。続編と言っても、無印HL2の直後から始まるストーリーなので、実質的に3本合わせて1本といった感じになっています。

本作は未完で、Ep2の終わりは非常に歯切れの悪いものになっています。Episode 3の配信が予定されていましたが、かれこれ15年(2021年現在)………配信は絶望的と考えられています。VR作品のスピンオフ「Half-Life:Alyx」が2020年に配信されたので、少しは希望が見えてきたともいえるかもしれません。

 

Steamの他、Xbox360PS3でも遊ぶことができます。ただし、Steam版のセール時の価格を考えても、Steam版に圧倒的に軍配が上がると言ってもいいでしょう。持っていない人は、ぜひ「Half-Life」「HL: Opposing Force」「HL: Blue Shift」「Portal」「Portal2」「Left 4 Dead 2」などValveの名作ゲームと共に手に入れておきましょう。

 

概要

先述した通り、ジャンルはシングルFPSです。
Half-Lifeシリーズの最大の特徴は、ゲーム開始時からエンディングまですべてが一人称視点で描かれる点です。登場人物の語りも、激しい戦闘も、突然起こるハプニングも全てが等倍スケールの人間の目で描かれ、そして常にプレイヤーが操作可能なので凄まじい没入感を生み出してくれます。2では初代よりもグラフィックや物理エンジンの挙動がリアルになったことで、没入感はより高まっています。

 

主人公は前作と同じくゴードン・フリーマン博士。前作のラストから行方不明になっていたという設定になっており、その間にかなりのヒーロー扱いになってしまった様子。そのため単なる一職員だった前作と違い、各地に点在するレジスタンスのメンバーが積極的に協力をしてくれるようになっています。さらに、ヒロインとしてAlyxというキャラクターが登場し一緒に戦ってくれたり、Episode 1&2の終わりにはたくさんの仲間と共闘するイベントがあったりなど、前作でも大きな特徴だったNPCとの協力要素がより強化されています。
 
物語の舞台となるのはCity17という都市とその郊外。研究所内がほとんどを占めていた前作と異なり、自然溢れるフィールドや生活感ある街など前作では見なかったようなロケーションが多く揃っています。時にはボートなどの乗り物に乗り、敵の攻撃を避けつつ疾走するチャプターもあります。

 

前作と同様、新たな武器は敵が落としたものを拾ったり、イベントで使用可能になります。たくさんの武器の中からそのシーンにあったものを選択するシステムは健在です。武器に残弾数があり、よく考えて武器をチョイスする必要があるのも同様です。

本作特有の武器としては、「グラビティガン」があります。これは、落ちているアイテムを引き寄せたり、吹き飛ばしたりできる武器です。拾った爆発物や鋭利な物体を敵に投げつけたり、時には物を動かして謎解きに使うなど、本作を象徴する武器になっています。もちろんシリーズの象徴のバールも登場します。

 

セーブは前作同様、いつでもどこでもセーブできる仕様になっています。また、区切りのいい部分でオートセーブもされます。難易度が高く、リソースが少ない状態で先に進むと厳しいので、何度も同じシーンに挑みなるべく損害を少ない状態で進めていく死にゲー的なゲーム性も健在です。

 

良い点

  • 没入感の高さ
     
    全て一人称視点で、切れ目なく描き切るシステムにより、非常に没入感の高い作品となっています。グラフィックが当時にしてはかなりリアルで、キャラクターが「人物」としてそこにいるような感覚になります。さらに、現実にありそうなロケーションが多いのも一役買っていると思います。
     
  • 密度の高いフィールドとイベント
     
    本作のフィールドは進行ルートから少し外れたところでもしっかりと作り込まれており、探索の楽しさがあります。隠しアイテムや、少し頭をひねらないと取得できないものなど、ちょっとしたところまでゲーム性を考えて作られている高品質なマップになっています。
    進行していくと突然起きるイベントも、同じようなイベントが何度も起こるのではなく、バリエーション豊かなものとなっています。特に、ボートで走っている時にヘリに追われるイベントや、クレーンを動かして巨大なコンテナをぶつけて敵を吹っ飛ばすシーン、Ep1や2のラストの防衛戦イベントなどは印象深いです。
    これでもかと詰め込まれたロケーションやイベントの数々を贅沢に堪能しつつどんどん進んでいくのが本作の醍醐味と言えそうです。
     
  • ちょうどよい難易度バランス
     
    本作は相当上手くない限り、いつでもセーブできる機能を活用しトライ&エラーをするのが基本となると思います。ただ、前作と比べると少しは易しくなっており、リソースが枯渇して詰んでしまうこともなかったので、難易度のバランスは良くなっていると思います。

悪い点

  • 未完であること
     
    明確なエンディングがあった前作と違い、HL2本編は一応ラストっぽさはありますが、締め方はあまり綺麗ではありません。これはHL2本編直結の Ep1,Ep2があるためあまり問題にならないと思っています。
    問題なのはEp2の終わりで、こちらはかなり尻切れトンボな鬱エンドになっています。さらに現在まで続編が出ていないので、Ep2の最後まで遊び切った際は満足感よりも「え、これで終わり?」と空虚な感じがしてしまいました。
    シナリオ面も良く練られていて充実していますが、結末を重視する人には現状あまりお勧めできません。
     
  • Ep1のマンネリ感
     
    Ep1前半は、本編ラストで訪れた要塞、後半は本編終盤で訪れたCity17を舞台としており、本編でも見た光景が続くのでマンネリ感が出てしまっています
    要塞や街にも特に目立った場所があるわけではないことがそれを加速させていると思います。Ep1もよくできていることには変わりないのですが、私はマンネリ感からプレイをやめてしまい数年間積んでしましました。
    一方Ep2は「ホワイトフォレスト」というCity17からは離れた場所が舞台で、ロケーション・イベント共に本編では見たことが無いようなものが多数登場しとても良かったです。
     
  • HL1に比べると「リアルではないシーン」が減ってしまった
     
    初代Half-Lifeは、まだグラフィックがそこまでリアルでなかったためなのか、ロケットを発射したり、巨大な扇風機に吹き飛ばされて空を飛んだり、ミサイルを落として壁を破壊したり、異世界に行ったり……とにかくリアルではないけれど迫力のあるイベントが多数ありました。
    一方でHL2ではそのようなイベントは数が少なくなってしまい、あくまでリアルに表現が可能な範囲内に収まっています。もちろんその分、HL2は独自のイベントを多数盛り込んでいますが、それでも初代と比べるとイベントのバリエーションやインパクトの面でやや寂しい気がしてしまいます。
     

総評

2004年に出ていたとは思えない美麗なグラフィック、充実してロケーションと探索要素のおかげで重厚なゲームプレイを楽しめる良い作品だと思います。ホラー・FPSというよりは、数々の演出を見ながら探索や謎解きをする「探索アドベンチャー」の側面が強い作品だと思いますので、FPSであるというだけで敬遠してしまっている人にもぜひプレイしてほしい作品です。

 

ゲーム音楽ピックアップ

たまに演出として曲が流れますが、印象に残るものはありませんでした。