ジャンル | 脱出アドベンチャー |
メーカー/ブランド | 開発:インテンス/販売:アークシステムワークス |
発売年 | 2012 |
ハード | 3DS DL専用タイトル |
お気に入り度(0~10) | 8 |
プレイ状況 | 全章クリア/3DS DL版 |
脱出アドベンチャー 旧校舎の少女
— SPD (@SPD_9X2) 2022年8月7日
3DS DL専用タイトル
インテンス開発、アークシステムワークス販売の 学園+脱出ADV
続編が7本も出ている大成功タイトル
THE密室からの脱出で培われたノウハウが継ぎ込まれた理不尽すぎない高品質な脱出ゲームパートと、巧妙なストーリーが光る小粒な良作でした pic.twitter.com/MncvME5H78
こういう短時間で充実したプレイ体験を得られるタイトルはいいですね。
これがもう買えなくなってしまうのは残念ですね…… 難しいとは思いますが是非移植してほしいです。
例のごとくネタバレは避けますが、もう買えなくなってしまうので、何のためにネタバレを避けるのかよくわかりませんね…
脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 とは?
アークシステムワークスが、2012年8月1日に配信開始した 3DSダウンロード専用タイトルです。アークシステムワークスは、ギルティギアやブレイブルーなどの対戦格闘が有名ですが、結構小規模なタイトルをたくさん出しているんですね。
開発はインテンスで、「THE 密室からの脱出」シリーズを開発したメーカーです。同シリーズで培った脱出ゲームのノウハウが本作でも十分生かされている感じがします。
3DSの Nintendo e-shopで734円で購入できます(メーカーサイト表記)。ただ、3DSのe-shopは2022年中に終了してしまうので、それ以降は入手不可タイトルになってしまいますね……
3DSダウンロードタイトルの中ではかなり成功したタイトルで、e-shopでも多くの評価が付いています。人気のほどがうかがえますね。
続編がなんと7作品も出ていて、シリーズ全8作品です。
概要・ゲームシステム
ゲームシステムとしては、ポイント&クリックの探索アドベンチャーにノベルゲームをくっ付けたような感じです。THE密室からの脱出シリーズとほぼ同じです。
アイテムを見つけて使用したり、謎解きをしたり……など一般的な脱出ゲームの要素に加え、主人公の若留の持っている腕時計に内蔵された工具を用いた解体パートがあります。
シナリオは全4章で、各章に2回の脱出パートが挟まれます。ステージの長短あれど、全8ステージと考えていいかもしれません。なお、THE密室からの脱出シリーズにあったような分岐はなく、一本道シナリオのようです。
ステージ間には、ビジュアルノベルにようなアドベンチャーパートが挟まれてストーリーが進行します。また、脱出パート中にも、キャラクター同士の掛け合いがあります。
各ステージ1時間程度、4時間程度でクリアできます。
良かった点
- バランスの優れた高品質な脱出パート
まずメインの脱出ゲーム部分ですが、理不尽になりすぎない絶妙なバランスになっていると思いました。過去のインテンス作品では、解法があまりに突拍子もなく理不尽に思うような謎解きもありましたが、今作は理不尽を感じる謎解きはありませんでした。
難易度面でも、すぐには気が付かなくても少し探索すれば分かるような絶妙な難易度になっており、比較的サクサク進むテンポのいい作品に仕上がっていると思います。
情報量過多で頭をパンクさせることもなく、考えるべきことが少なすぎてすぐに答えが分かってしまうわけでもない、インテンスが培ってきた繊細な職人芸が生きている感じがします。
- ヒント機能
詰まってしまったときのために、ヒント機能が付いています。見るかどうかは任意で選べるので、自分で解きたいのにネタバレされる……という事はありません。
ヒントは淡泊な文章ではなく、キャラクター同士が会話をする形(もしくはモノローグ)で提供されるので、力が入っていますね。
また、複数回ヒントを開くと内容がより踏み込んだ、より答えに近いものに変化していきます。一気にヒントを出してしまうと、「自分で考え、それが正解と分かる」という謎解きの面白さを破壊してしまうため、「最小限のヒントだけもらって後は自分で解く」という形でプレイできるようにしているのだと思います。
- 脱出パートを盛り上げる……だけじゃないストーリー
THE密室からの脱出シリーズのように、ストーリー要素がしっかりとサスペンスな雰囲気を演出しており、脱出パートに取り組むプレイヤーに「脱出しなければ!!」と思わせる緊張感を与え、没入感の向上に成功しています。
とはいえ、THE密室からの脱出シリーズにおいてはストーリーは上記のフレーバー程度の役割でした。しかし今作はさらに、ストーリー単体で見てもハイクオリティなものになっています。
ツッコミどころのあるストーリーではあるのですが、特筆すべきはラストで判明する、とある事実、その一点です。それが判明した瞬間、ストーリー中に大量に伏線が配置されていたことに気が付き、これはやられた!!と思いました。こういうのに弱いんだよな~、完敗です。
結論を知ってから再プレイすると存在に気が付ける要素も用意されています。
気になった点
- 3章の2つ目の脱出パート
このパートですが、ストーリーの状況的に扉は空いているはずなのになぜか閉じ込められています。私が閉じ込められた描写を読み落としていただけだったら申し訳ないです…
- 4章の最初のパズル
4章の最初の脱出パートは扉を開けるために互いに関係ない3つのパズルを解くだけになっています。パズル自体もストーリーに深くかかわるわけではないので、取ってつけたような印象が拭えませんでした。
- 解体パートがあまり生かされていない
本作の目玉としてプッシュされている解体パートですが、蓋をネジで開けて、内部のパズルを解く展開が多いです。解体である必要があるのかを少し疑問に感じました。
脱出ゲームは、脱出するために必要なものがなぜか揃っていて、何故かパズルで開く扉がある……といったようにご都合主義的な空間になってしまいがちです。
そこに更に「内部にパズルがある機械」のような物体を登場させてしまうと、ご都合主義をさらに強く感じさせてしまうことになります。
しかし、そもそも「パズルを解かなくてはいけない」という展開を強い説得力を持って作り出すのは不可能に近いですから、これは仕方のないことなのかもしれません。
- 通常プレイでバグに遭遇
その後に支障はありませんでしたが、普通に遊んでいて、バグに遭遇しました。正直作中のホラー展開より怖かった!!
(具体的には、4章で映写機を直した直後に漢字箱を見たときに、箱が空いているはずなのに入力画面が表示され、その後の表示がおかしくなりました)
総評
脱出ゲームとしてはバランスの良いかなり高品質な作品になっています。ストーリーも脱出ゲームのフレーバー以上の意味をしっかり持っており、キャラクターや雰囲気が気になった方でも楽しめる作品になっています。
特に、ストーリーラストのある一点に関しては、プレイヤーの心を強烈に掴み取り、続編をプレイしたいと思わせる力を持っていると思います。
細かい粗もあり完璧な作品というわけではありませんが、配信開始から10年、いまだに根強いファンがいるのも納得の作品です。
続編もやります!!!
ゲーム音楽ピックアップ
曲は雰囲気に合っており、ゲームをしっかりと盛り上げてくれています。
が、情報がありません……