ジャンル | RPG |
メーカー/ブランド | 任天堂 |
発売年 | 2006 |
ハード | GBA, Switch(GBA for Nintendo Switch Online) |
お気に入り度(0~10) | 8+ |
プレイ状況 | Ending到達 / GBA for Nintendo Switch Online版 |
Nintendo Switch Online+に追加されたのでノリで始めたのですが、一気に最後までプレイしてしまいました。2を先に最後までやっておいた方がよかったかもしれない……
紹介する以上どうしても軽微なネタバレは避けられない作品ですが、重大なネタバレは避けて紹介します。
MOTHER3
— SPD (@SPD_9X2) 2024年3月20日
約25時間でクリア
2は先に遊ぶべきだったかも
有名RPGシリーズの3作目
胸が締め付けられるシビアなシナリオ、それを支える世界観やテキストのセンスが抜群。根幹はシリアスな一方でシュールな笑いも違和感無く仕込まれているバランス感覚が凄い
UTの元ネタこれか!という楽しみもありました pic.twitter.com/dPvPVneaQu
MOTHER3 とは?
任天堂が2006年に発売したゲームボーイアドバンス向けのRPGです。
長らく移植が無くGBA版を購入するしかありませんでしたが、2024/02/21のNintendo Directでサプライズ的にGBA for Nintendo Switch Online版配信が発表されました。
初代「MOTHER」はFC、「MOTHER2 ギーグの逆襲」はSFCのタイトルですが、両者共にNintend Switch Onlineでプレイできます。
シナリオに関しては 2 の直接的な続きでは無いものの、前作のシナリオとも深く関連があるようなので、事前にプレイしておいた方がいいかもしれません。
概要・ゲームシステム
「MOTHER」シリーズの特徴は、独特の世界観と味のあるテキスト、そして愛らしいビジュアルでしょう。あらゆる面でディレクターの糸井重里氏のセンスが炸裂し、過去のどんな作品にも似ないRPGシリーズとなっています。
近年では、「UNDERTALE」を代表とするMOTHERの遺伝子を引き継ぐ作品も登場しています。現在では、RPGの一つのスタイルを築いたシリーズといえるでしょう。
「MOTHER3」は、そんなシリーズ3作目。
企画から実際に発売に至るまでに相当な困難があったことが有名です。当初はSFC向けに開発していたものが、64向けに変更され、発売直前まで漕ぎつけていたものが中止。その後しばらくしてGBA向けに開発が再開され、GBA末期に発売されたという経緯があるようです。
さて、MOTHER3の冒険の舞台は不思議な島「ノーウェア島」です。島にある小さな村「タツマイリ」に暮らす双子のクラウスとリュカは、母のカナワと共に、山の上にある叔父の家に遊びに行っていました。村で帰りを待つ父のフリントの元に、山火事が起きたという知らせが来るところから物語は始まります。
この始まりの不穏な事件は、更なる不穏な展開へと繋がります。その後も作中を通してダークな空気感が一貫しており、この点に関しては当時は賛否あったようです。
本作のシナリオの大きな特徴として、主人公が変わる点が挙げられるでしょう。1章では、山を捜索するフリントの物語が描かれますが、2章・3章・4章以降ではまた違うキャラクターが主人公となります。物語が様々な視点から描かれることで、多数の要素や伏線が複雑に絡み合った重厚感のあるシナリオになっています。
なお、終盤の展開は癖が強く好みの分かれるものとなっており、発売当初は酷評されることもあったようです。
グラフィックには2と同様にドット絵の可愛らしいグラフィックが採用。マップは細かいところまで丁寧に描かれ、キャラクターの奇抜なデザインも健在。グラフィックと独特のセンスのテキストが織り成す糸井節は本作でも十分に発揮されています。
RPGとしての自由度は高いわけではなく、基本一本道の構成です。しかし、その分各イベントやテキストに力が入っており、アドベンチャーゲームを遊んでいる感覚が強いです。このプレイ感覚もMOTHERシリーズの大きな特徴かもしれません。
戦闘は一般的なコマンドRPGに近いものの、いくつかMOTHERシリーズに特有のシステムが導入されています。
「サウンドバトル」は、戦闘曲に合わせてボタンを押すと複数回通常攻撃を当てられるというシステム。敵ごとにリズムが違うので、曲をしっかり聴いてリズムを推測する必要があります。
「ドラムロールシステム」は、HPやMPの表示が一定速度で回転するドラムロールで行われるシステムです。致命的なダメージを受けたとしてもHPのドラムロールが回転していって0になるまでは戦闘不能にならないので、素早く操作すればHPを回復して耐えることができます。
また、各キャラには「とくぎ」が設定されており、特殊な行動が可能です。敵の行動を封じたり、弱点を調べたり、MPを消費して強力な攻撃を放ったり…… キャラごとに大きく傾向が異なるので、パーティ内での役割分担が重要となります。
戦闘は比較的難しく、ボス戦は回復アイテム集めやレベル上げなど入念な準備をした上でも苦戦するバランス。ドラムロールシステムのお陰で素早い判断が要求されることもあり、中々手に汗握る熱い戦闘を楽しめます。
通常戦もシンボルエンカウントのため、ある程度回避可能なのも嬉しいところ。敵キャラクターが多く、固有ドロップなども用意されているので、初めて見た敵にはむしろ積極的に勝負を挑みたくなります。
プレイ時間は25時間ほど。RPGとしてはやや短めなので手軽に遊べます。
良かった点
- 強烈に発揮されている糸井節
可愛らしく少し奇妙なキャラクタービジュアルに、細部まで意味が敷き詰められ淡泊さを感じさせない血の通ったマップのデザイン、そしてシュールな笑いとアイロニーのセンスに溢れたテキスト。
糸井氏のセンスが本作でも強烈に発揮され、MOTHERシリーズ特有の世界観を存分に味わうことができます。
- テンポ良く、常にプレイヤーを引き付けて離さない高密度なゲーム展開
大小様々なイベントが小刻みに起こるので、一般的なRPGよりもプレイ感覚がかなりアドベンチャーゲームに近いです。RPGにありがちな、淡泊な構成のダンジョンを長時間彷徨ったりすることはありません。戦闘に関しては、ボス戦の数が多く、通常エンカウントの敵も種類が非常に多いので同じ敵と延々と戦うようなことはありません。全体として見て、プレイ時間に対して惜しみなくゲーム要素が投入され、充実感のある高密度なゲームプレイが味わえるようになっています。
シナリオも大きな流れの中で小さな動きを多数作る構成になっているため、テンポよく、それでいて分かりやすく物語が進行します。続きが気になるようなフックを常に用意し、切らさない構成も見事。一度遊び始めたが最後、エンディングまで一気に駆け抜けてしまうこと請け負いです。
- バランスの良い戦闘
戦闘は、全体的にやや難しめです。特に、終盤は苦戦するボスが多かったです。
しかし、難しいと言っても多少の準備と戦略で何とかなる場合が殆どで、手を尽くしても難しいかというとそこまでではありません。
サウンドバトルとドラムロールシステムのお陰で、戦闘にリアルタイムのボタン操作が要求されることもあり、準備を念入りに行った上でもしっかり考えて戦闘する必要があるのも緊張感があり良かったです。
- 力の入ったサウンド
本作はサウンドにも非常に力が入っています。特に音楽を用いた演出は秀逸で、各シーンに説得力を与える役割を完璧に果たしています。
また、短いテーマをアレンジして随所に登場させる映画的な楽曲制作が行われており、音楽が伏線になっていることも……(?)
気になった点
- セーブが2個
セーブスロットが2個しかありません。
一度進むとボスを倒すまで戻れない箇所もあり、上書きセーブをしてしまい、尚且つ倒す準備ができていないと苦戦は必至です。
取り返しのつかない要素がいくつかあるのもセーブスロットの少なさと相性が悪いです。
Switch Online版なら、どこでもセーブが使えます。章の終わりにセーブをバックアップで取っておくと良いでしょう。
- MP回復手段の乏しさ
一部キャラが使用できる超能力PKを利用するために必要なMPですが、回復アイテムの数が少なく、大量に入手することも困難です。一方でボス戦ではPKが貴重なダメージリソースとなっているので、ボスが居るところまで頑張って雑魚敵を避けていくプレイになりがちです。
ボス戦の前に回復できる箇所を置いてくれると良かったのですが……
総評
RPGはゲームプレイの淡泊さに耐えきれず途中で放り出してしまうことの多い私ですが、本作はとにかくゲーム要素が高密度で提供されるお陰で最後まで一気にプレイできました。UNDERTALEやOMORIなどが気に入った方は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。2が未プレイの方はそちらから遊んだ方がいいとは思いますが…
賛否あるラストに関しては、多くを語らずにエンタメ性が低いため賛否あるのも納得でした。シビアで心苦しい展開が多いので、最後に大きな救いがある展開を期待してしまう気持ちも分かります。やはり個人的にも、すごく好きか?と問われると首肯し難い部分はありますが、MOTHER3のテーマはラストバトルで描ききっている気がするので、1つの終わり方としてはこれで充分だと思います。プレイ後に考察サイトなどを読み漁るのも楽しいですよ。