ジャンル | メトロイドヴァニア |
メーカー/ブランド | 任天堂 |
発売年 | 2003 |
ハード | GBA, Switch , (WiiVC, 3DSVC) |
お気に入り度(0~10) | 8+ |
プレイ状況 | クリア / Switch版 (GBA for Nintendo Switch Online) |
メトロイド フュージョン
— SPD (@SPD_9X2) 2023年12月6日
2003年,GBAで出たシリーズ4作目
自由度を多少犠牲にストーリー性が大幅上昇。舞台を謎の生物"X"に浸食された巨大宇宙ステーションへと変え、次々起こる事件にサムスが立ち向かう。
サムスの分身"SA-X"との恐怖の遭遇イベントや、ラストのアツい盛り上がりが凄く良かったです pic.twitter.com/JpmbejdwZE
スーパーメトロイドが好きだったので続編である本作をプレイ。
やっぱりメトロイドは面白いですね!!
ゼロミッションもswitch onlineに来て欲しいです。
メトロイド フュージョン とは?
youtu.be
任天堂がゲームボーイアドバンス用ソフトとして2003年に発売した探索アクションゲーム(いわゆるメトロイドヴァニア)です。
一応このジャンルを知らない人向けに説明しておくと、広大なフィールドを敵と戦闘しながら探索し、キャラクターのスキルを解放しながら探索可能な範囲を広げていくタイプのアクションアドベンチャーゲームです。
初代「メトロイド」は後年に大きな影響を与えた作品で、悪魔城ドラキュラ(Castlevania)シリーズと併せてメトロイドヴァニアというジャンルを築きました。悪魔城シリーズは全てが探索アクションというわけではないので注意です。
本作「フュージョン」をプレイする場合、GBAのオリジナル版以外には、GBA for Nintendo Switch Onlineに収録されている移植版があります
以前にはWiiUのバーチャルコンソール、3DS早期購入者向けのアンバサダープログラムで入手できましたが、今ではどちらも入手不可です。
初代・2・スーパーに続くシリーズ4作目。2Dメトロイドの完全新作としては、2021年にドレッドが出るまで長らくの間最後の作品でした。(初代のリメイク「ゼロミッション」と、2のリメイク「サムスリターンズ」は出てたんですけどね)
概要・ゲームシステム
基本的には過去のシリーズ作に準拠したゲームシステムです。広大で複雑なマップを探索し、隠された通路やアイテムを探しつつ、ボスを撃破して能力を解放。その能力を用いて新エリアへの道を切り開いていきます。
主人公はシリーズおなじみサムス・アラン。「メトロイドII」の舞台となった惑星SR388に棲む謎の寄生生物「X」に体を蝕まれ、命の危機に。緊急手術によって一命は取り留めましたが、「X」への耐性を得た代償に元の能力をほとんど失ってしまいました。
そんな中、宇宙生物研究所「B.S.L.」へ「X」が侵入する事件が発生。「X」に唯一対抗できるサムスが、増殖する「X」を殲滅しに向かうというストーリーになっています。
「X」は宿主となった生物の遺伝情報をコピーした後に殺害し、その生物に成り代わるという性質を持っており、本作に登場する敵はほぼ全てが「X」が擬態したものとなっています。
サムスは「X」への耐性を得るとともに、吸収能力を得たので、攻撃をして擬態を解除した「X」を吸収するとHPが回復するようになりました。前作までにおける敵を倒したときに出る回復アイテムの位置づけですね。
また、ボスの「X」を吸収すると、そのボスが持っていた能力を自身の能力として獲得できます。これは前作までにおける能力獲得イベントと対応しています。
研究所職員をコピーしたであろうゾンビのような敵や、惑星SR388の生物をコピーした敵、生体コアが「X」に乗っ取られた警備ロボットなど、全て「X」ではありますが、デザインや攻撃方法は多彩です。
そして、宇宙生物研究所にはサムスの手術の際に切り取られたパワードスーツの残骸が保管されていました。これをコピーした「X」が、以前のサムスそっくりに擬態し、「SA-X」として登場します。「SA-X」は非常に強力なので、能力を失ったサムスは全く歯が立ちません。一方で知能はサムスそのものなので、出会ってしまうと襲撃してきます。遭遇シーンは恐怖心を煽る演出が取り入れられており、緊張感のあるイベントとなっています。
前作「スーパー」までと本作が大きく異なる点は、ストーリー性が大幅に強化された点でしょう。前作は基本的には自由探索で、シナリオの展開はゲーム中の演出で婉曲的に語るという手法が取られていました。
一方で、本作は明示的に文章を使って語られます。具体的には、各所に存在する「ナビゲーションルーム」で、AIが現在の状況や、次行うべきことを説明してくれます。
また、時折サムス自身のモノローグが入ります。
AIの指示に対してサムスは何を考え、どう行動するのか。本作のストーリーの大きなテーマとなっています。
ストーリー性が高まった影響で、本作は進行ルートがほぼ一直線になり自由度が減っています。前作には想定された進行ルートを外れて進める「シーケンスブレイク」と呼ばれるテクニックが多数ありましたが、本作には殆ど無いようです。
ただ、自由度が減った影響で探索すべき場所の候補が減り、進行ルートが分からなくて長時間詰まることは減った印象です。
良かった点
- シークレットを探す喜び
メトロイドシリーズの一番面白いところである、沢山の隠し要素を見付けていく楽しみが本作にもしっかりと受け継がれています。マップの怪しい空白や、不自然な壁の模様や凹みに目を付けては武器をぶつけてみたり、体当たりをしてみたり… 丁寧に隠し要素を探すと、それにしっかりと応えてくれます。
個人的には前作の「スーパーメトロイド」がとても面白かったので、本作にも同様の探索の楽しさを期待していました。本作はその期待に十分応えてくれるものだったと思います。
やはり「宝探し」は人間が本能的に楽しいと感じる行動の1つなのかもしれませんね。
- 洗練されたアクション性
本作のアクションゲームとして見た際の完成度は前作「スーパー」よりも高い水準に達していると思いました。
特に、サムスの動作は前作よりも軽快になり、崖掴まり等の新アクションの追加のお陰もあって、快適に操作できるようになっています。
更に、硬い敵や理不尽な動きをするボスが減ったり、ボス前にHPを回復する要素が配置されたりなど、レベルデザインの面でも改善されていると思います。
- ダークで魅力的な世界観とストーリー
ダークで深淵を覗く恐怖を感じさせる世界観はメトロイドシリーズの大きな魅力の一つです。
本作は宇宙ステーションが舞台なので、惑星を舞台とする過去作にあった得体のしれない場所を探索することへの恐怖・ワクワク感は多少薄れてしまっています。しかし、AIとの会話・サムスのモノローグと、ダイナミックに展開する緊迫感あるストーリーが、過去作とはまた一味違うダークSFの良さを引き出しています。
特に、ラストの胸が熱くなるような展開はお気に入り。ドラマとして見ても、SFとして見ても素晴らしかったです。
- ロケーション・敵の多彩さ
本作は宇宙ステーションを舞台としながらも、多彩なロケーションのレベルが用意されています。
宇宙ステーションの生物研究エリアは6つのセクターに分かれていて、それぞれに明確なテーマが設定されています。例えばセクター1(SRX)が惑星SR388を再現した区域となっていたり、セクター4(AQA)が水棲生物を研究する区域になっていたり……
セクターが違えば雰囲気も出てくる敵も登場するギミックも異なるので、宇宙ステーションを舞台としながらも前作までと同じくらい多彩なレベルを楽しむことができます。
- テンポの良さ
ストーリー要素によって進行ルートが一本道になり、迷い辛くなっています。
そのため、テンポよくゲームが進みます。長時間迷い続けるのはストレスなので、この点に関しては良かったと思います。
気になった点
- 自由度の低さが目につく
本作は進行が一本道で自由度が低いのは先述した通りです。ただ、実際は前作「スーパー」もやり込みプレイヤーでない限り、ほぼ全員が同じような攻略手順を踏みます。つまり、初見プレイヤーにとっては実質一本道なんですよね。
しかし、本作は同じ初見でも「スーパー」よりも自由度が低いと感じてしまいます。その理由は明白で、本作のプレイには迷う余地が無いからです。常に分かりやすく次の行き先や目的が提示され、目的地までの経路上にも迷う原因になりそうな脇道がありません。
目的地に着いた時、まだ探索していない脇道が残されていると「あっちに行ったらどうなってたんだろう?」と考えることありますよね?
選ばなかった別の選択肢が残されていて、そちらを選んだら別の可能性があったかもしれない…… そう想像できることこそが「自由度」なのではないか。私はそう考えています。
テンポよく進む半面、「敷かれたレールに沿って進んでいる」と強く感じさせてしまうストーリー要素はやはり功罪どちらもあると思います。
総評
ストーリー要素による独自の良さを発揮しながらも、シリーズの持ち味も生かした良作だと思います。
探索アクションゲームとしての完成度が純粋に高いので、シリーズの他作品を気に入った方は勿論、メトロイドヴァニアというジャンルが好きな方にも問答無用でおすすめです。
ゲーム音楽ピックアップ
- Underwater Depths
セクター4(AQA) の海中エリアで流れる曲。ダークでありながら、神秘的な雰囲気のサウンドが強烈。このエリアはビジュアルも含めて作中で一番好きです。
- Escape!
脱出の曲。リドリー戦のアレンジも入ってカッコいいですね。