【ゲームレビュー78】STRIKERS 1945 II

レビュー一覧

ジャンル 縦スクロールSTG
メーカー/ブランド 彩京
発売年 1997 (AC版)
ハード AC, SS, PS, PS2, Switch, PS4, XboxOne, Steam(Win)
お気に入り度(0~10) 8
プレイ状況 1周1CC(疾風) / Steam版

 
1周しかクリアしていないので、その上での感想という事を念頭に置いたうえで読んでいただけると嬉しいです。

 

  

レビュー

彩京の中でも特に人気作で、同社の看板ともいえる縦スクロールSTG

彩京は、アーケードのSTGを多数開発していたメーカーで、本作以外にも多数の有名な作品があります。それでも、彩京といえばこの作品!! と断言しても否定する人はいないでしょう。

STGの歴史の中でも存在感を放っているカリスマ性のあるタイトルで、シューター(STG愛好家)の多くが本作をプレイしたことがあると思います。2000年前後のゲームセンターには、どこに行っても本作(を始めとする彩京STG)が置いてあったという逸話もあります。

 

さて、そんな本作の特徴を一言で言い表すと、「普通のシューティング」です。

「独特なSTGです。」と説明したら怒られるレベルで普通です。

タイトル画面も普通

まず、ゲームのシステムは一般的なアーケードの縦スクロールSTGのものを受け継いでいます。全8面で構成され、順にステージをプレイしていきます。各ステージの最後に待ち構えているボスを倒すとステージクリアです。普通ですね。

 

敵のデザインも普通です

操作は ショット + ボムのシンプルな構成。打ち込んだり敵を倒すことでゲージが溜まり、一定以上溜まっている時にショットボタンを長押しで強力な溜め撃ちを行えます。
うーん普通ですね。

強力な溜め打ちを使いこなすことが鍵です

まぁそんなわけで一見するとあまりに普通な作品です。

しかし、「普通」というのは決して悪いことではありません。

むしろ、本作がヒットしたのは「普通」だから。言い換えるのならば、STGというジャンルの普遍的な楽しさを非常に高いレベルで仕上げているからです。

本作は一見すると普通でありながら、丁寧に丁寧に創られ、完璧に仕上げられた作品なのです。例えるのなら、職人の作ったシンプルで飾りのない機能美に溢れた食器です。
面白さにはしっかり理由があるもので、しっかり注目してみると細部に様々な工夫が凝らされています。それらの目につきにくい工夫を紹介していきましょう。
 

1. 退屈な瞬間を作らない

まず1点目は、「退屈な瞬間を作らない」点です。
アーケードSTGは、毎回1ステージ目から順に遊ぶことになります。
序盤面は大抵の場合は簡単なので、繰り返し遊ぶうちに慣れていきます。
毎回同じ動きをしていればミスをすることもないので、しばらくとするともはや作業と化してしまうことも多いです。
 
一方で、本作「STRIKERS1945 II」では、最初の4つの面はランダムな順序でプレイするシステムを搭載しています。同じステージでも、1面で遊ぶより4面で遊ぶ方が難しくなります。そのため、ステージ順によってパターンや難易度が変わり、マンネリ感の軽減に繋がっています。

 
また、各ステージは2分ほどとすごく短くなっています。
同じような風景やステージ展開が続くと、プレイ中に退屈に感じることもありますよね。本作はテンポよく交互に展開していくので、そういったことはありません。
更に、ボス戦も複数の形態がコロコロと切り替わっていく構成になっており、テンポの良さにはこだわりを持って開発されていることが分かります。
 

2. 爽快感を最大限感じられる微細なチューニング

爆発・ショットなどの爽快感に繋がる演出は派手ならば派手な程良いと思われがちですが、実際にはそうとは限りません。あまりに派手過ぎると、画面の視認性に影響が出ますし、プレイヤーの心理と掛け離れすぎるとかえって冷めた気持ちになってしまうこともあります。

本作は敵の爆発、ショットの撃ちこみ音が小気味良く、適度に主張しています。
STGで熱くなる気持ちと同じくらいにチューニングされたこの「適度」の感覚が彩京は特に上手いイメージですね。

それ以外にも、操作感の点も優れていると思います。自機の移動速度や、溜め打ちの溜め時間、ショットの発射間隔など、あらゆる点がバランスよく調整されていて、触っているだけで楽しい操作感になっています。

 
3. 長く遊べるようにする

本作は、しっかり長く遊べるような設計になっています。

まず、機体は6機体から選択式です。ショット・ボム・溜め打ちやオプションの性能など、全ての面において、デザインや機能も大きく異なるので、様々な機体で遊ぶのも楽しいでしょう。

1周クリアなら 疾風(Hayate) がおすすめ

また、高難易度の2周目も搭載。STG全体を見渡してもかなりの高難易度なので、並大抵のプレイヤーには本作を遊び尽くしてしまうことは難しいでしょう。
 
STGのやり込みというとスコア稼ぎですが、本作にもスコア稼ぎが楽しく刺激的になるシステムを搭載。敵を倒した際に落とす金塊アイテムを取るとスコアボーナスが入ります。これだけだと普通ですが、本作では金塊がキラリと光った瞬間に取るとボーナス点が最大10倍に跳ね上がるようになっています。
初心者でもつい狙いに行ってしまいたくなるシンプルさと、突き詰めるとパターンを厳密に組む必要があるシビアさを両立しているのが見事です。

左下の金塊が光っています。この瞬間に取ると2000点

 

4. 実は普通ではないプレイフィール

今まで散々「普通」と書きまくってきましたが、それは表面的な部分の話。

実際、1周目の中盤くらいまでは普通のシューティングです。しかし、後半に進むにつれて彩京STGの独自性が発揮されていくのです。
 

彩京STGは、「彩京弾」と呼ばれる独特の弾幕で有名です。
彩京弾」は、超高速で見切るのがほぼ不可能な弾幕のことです。

本作も例に漏れず、後半面に進むにつれだんだんとこの傾向が顕著になります。
特に6面以降のボスでは恐ろしいほどの速さの弾がプレイヤーを襲います。

しかし、弾幕は規則的で明確な攻略法が存在するように設計されています。

発射を確認してから少し自機を動かすだけで避けられるもの、安置に入れば避けられるもの、大きく避けることで塊ごと回避できるものなど、意外と攻略法はシンプルなものばかり。

パターンを覚え、練習することで、高速弾を流れるように避けていく美しいプレイができるようになります。

高速かつ規則的な「彩京弾」

 

最後に、本作の難易度について説明しておきましょう。
1周目でも結構難しく、STG初心者が頑張ってクリアできる難易度かと問われると……多分無理です。ただ、移植版なら難易度も下げられるので、AC設定至上主義でないのならば問題にならないでしょう。

同じ彩京STGなら、「ガンバード」の方が難易度は低いのでこちらを検討してみてもいいかもしれませんね。

 

STRIKERS 1945 II を遊ぶには?

store.steampowered.com 

元々はアーケードゲームですが、複数のハードに移植されています。

PS/SSの移植は、完全移植版をプレイするには縦向き画面が必要なのが難点。横画面の場合、上下が見切れたバージョンしか遊べません。
PS2版は横画面対応かつ1とのカップリングですが、移植度があまり良くないそうです。ZerodivによるSwitch / PS4 / XOne / Steamへの移植は、機能こそ充実しているとは言い難いですが、普通に遊ぶ分には問題ない移植となっています。今から遊ぶならこの新規移植を選ぶのがよさそうです。Switch版は入力遅延が大きいとの意見もあるのでSteam版推奨です。
 

まとめ

シンプルながら、完成度の高い傑作STGです。

他の彩京STGも多少の差はあれど、似たような特徴を持っている作品が多いので、ビジュアル面も含めて気に入った作品をプレイしてみるのがいいでしょう。

 

ゲーム音楽ピックアップ

彩京STGは曲が微妙なイメージがありますが、列車ステージのボス戦の曲はかなり好きです