ジャンル | 探索ADV |
メーカー/ブランド | 開発: hako生活 / 販売: room6 |
発売年 | 2020 |
ハード | Switch, Steam(Win,Mac), iOS, Android |
お気に入り度(0~10) | 8 |
プレイ状況 | エンディング到達 / Steam版 |
アンリアルライフ
— SPD (@SPD_9X2) 2023年6月19日
蒼い幻想的な世界で目覚めた少女ハルが、喋る無線式信号機195と共に、何処かへ行ってしまった「先生」を追って世界を旅するADV
「物体の記憶」を読む能力を生かし、時系列方向に厚みのあるサスペンスストーリーを、温かみのあるキャラと、美麗なドット絵&演出力で魅せる作品でした pic.twitter.com/8PMUTdVhHj
トレーラーの不穏な雰囲気と美麗なドット絵に惹かれてプレイ。
ネタバレは避けて紹介したいとおもいます。
アンリアルライフ とは?
hako 生活が開発。room6のインディーゲームレーベル ヨカゼから2020年に発売された探索アドベンチャーゲームです。
Switch版、Steam版の他、iOS,Androidでも遊ぶことができるようです。Switch版にはパッケージ版もあります。
ゲーム本編の機種ごとによる差は(おそらく)無さそうです。
日本国内の作品なのでもちろん日本語対応です。
記憶喪失の少女は、しゃべる信号機と出会いました。
少女には「さわったモノのキオクを読み取る力」があるようです。──少女は自分の記憶の手掛かりとなる「先生」を探すため、
信号機とともに不思議な夜の街へと旅に出るのでした。記憶をたどった先に、待っているのは……。
アンリアルライフは、記憶を読み取るなぞ解きアドベンチャ-。
モノに触れ、今と過去を比較して謎を解いていきましょう。
―― Steam版ストアページより引用
概要・ゲームシステム
横スクロール視点で操作する探索アドベンチャーゲームです。ゲーム性自体はかなり王道です。往年のフリーの探索アドベンチャーゲームに近いものを想像していただければOKです。探索を繰り返し、情報やアイテムを集め、謎解きをし、時折起こるイベントを読み進めていく…馴染み深いゲーム性ですね。
本作の主人公は記憶喪失の少女で、出会った喋る信号機「195」と共に自身の記憶の中にいる「先生」を探しにいく……というストーリーになっています。
少女は物の記憶を読み取る力を持っていて、様々な物に触れることで周辺の過去の状況を見ることができます。この情報をヒントにして謎解きをし、道を切り開いていくのが本作のゲームプレイの基本となります。
本作は、ゲーム性よりも作中世界の方に大きな特徴がある作品です。
まず、作中世界はどこに行っても夜で、幻想的でメランコリックな雰囲気が漂っています。トレーラーや紹介画像の雰囲気そのままの物が出てくると思って良いです。
また、作中に登場するキャラクターは異形頭・しゃべる動物など癖の強いデザインのキャラクターがたくさん出てきます。そもそも、相棒が喋る信号機ですしね…
癖の強いデザインに対して、王道で素敵なキャラ付けがされているキャラクターが多く、温かみのある世界観を構成しています。
また、美麗なドット絵風のグラフィックは本作の大きな特徴といっていいでしょう。キャラクター・背景は書き込みが凄く、よく動きます。カットイン・ムービーシーンも非常に美麗です。ドット絵風のグラフィックが大好物の方にはおすすめです。
システム面に関しては、今までの展開を少女の視点で振り返るあらすじ的な要素や、バックログ機能などが用意されています。こういった探索系のADVでバックログ機能が付いているのは割と珍しいと思います。
ゲームを進めると、ミニゲーム「Volta」で遊べるようになります。対戦型のシューティングで、相棒の信号機195が対戦相手になってくれます。本編を進めるごとに195が上達し、難易度が上がっていく仕様になっています。
本作には他作品へのパロディがたくさん含まれていることも特筆に値するでしょう。1つ上の画像から何かの作品を思い出す人もいるのではないでしょうか…?
公式ページに「影響を受けた作品一覧」というページがあることからも、色々なパロディは意図的に仕込まれたものであることが分かります。色々な作品を遊んできた人ならば、パロネタの数々も楽しめる要素になると思います。
良かった点
- 圧倒的な表現力で魅せる幻想的な世界観
本作はやはり世界観が抜群に良いんですよね。
常夜の世界のメランコリックで幻想的な世界。それが美麗なドット絵風グラフィック、ピアノ主体の落ち着いたサウンドと、卓越した演出力で表現されていて、高い没入感を実現しています。
また、尖ったキャラクターデザインや、常識外れなイベントの数々も現実世界とかけ離れた不思議な世界の演出に生きていて良かったです。
- サスペンス・サイコホラー感溢れるストーリー
探索ADVというジャンルにはサスペンス・サイコホラー的な要素が求められることが多いですが、その両方をしっかりカバーしています。
主人公のハルが追っている「先生」はどこへ行ってしまったのか? そもそも「先生」は誰なのか? という点が一番の謎ではありますが、舞台が不思議な世界なこともあり、自然な流れの中でどんどん謎が増えていきます。時折サイコホラーな展開を仕込み、緊張感を高める手法もしっかり援用されています。
最後までプレイヤーの注意を引き、先が気になる気持ちをずっと維持する構成をハイレベルで実現していると思います。
- 素敵なキャラクター達との温かなやりとり
本作に登場するキャラクターたちはデザインこそ特異ですが、思慮深く温かい心を持ち、主人公のハルに寄り添ってくれます。
彼らとハルの織り成すハートフルなやり取りの数々が、不思議故に取っつきずらく感じられてしまう世界とプレイヤーの心を繋ぐ端末として作用し、没入感をもたらしてくれます。
終盤には、物語で登場したキャラクターたちがハルの為に力を尽くしてくれる展開があり、理性的だけでなく感情的にも厚みのある情緒たっぷりな物語になっています。
気になった点
- 所々テンポが悪く面倒に感じるシーンがある
まず、作中全体を通してハルの移動速度が遅いので、長距離を移動する際には遅さが気になります。特に、絵に関するサブイベントをこなす為には作中世界全体を行ったり来たりしないといけないので、単純に移動が面倒です。
また、中盤にあるバッドエンドのイベントではやり直しの区間が非常に長いので、バッド回避の方法にすぐに気が付かない場合、トライ&エラーの遅さに苦しめられることになります。
総評
王道を行く、完成度の高い探索ADVです。
幻想的な世界観、理性的にも感情的にも重厚なストーリー、愛着の湧くキャラクターたち…… 高品質に練り上げられた作品の骨子を、圧倒的な表現力と演出力で肉付けし、誰もが満足できる素敵な作品に仕上がっていると思います。
気になった方は是非プレイしてみてください。
ゲーム音楽ピックアップ
本作のサウンドトラックはSteamで配信されています。Boothで物理版を購入することも可能みたいです。
- Unreal March
タイトル画面の曲ですね。プレイ前と後でイメージが変わる点は、「Gate of Steiner」と似ている気がします。
- お話の続きは、また明日。
エンディング曲です。好き。