【ゲームレビュー61】きせきの扉

レビュー一覧

ジャンル 短編ビジュアルノベル
メーカー/ブランド アンディーメンテ
発売年 2002
ハード Win
お気に入り度(0~10) 8+
プレイ状況 クリア/Win版

 

 
フリーゲームです。短いのに凄かった…

ノベルゲームなので、具体的な内容には触れすぎないように気を付けます。

 

きせきの扉 とは?

www.freem.ne.jp

 
コアなファンを持つらしい個人ゲーム制作サークル「アンディーメンテ」が2002年に発表したwindows向け短編ノベルゲームです。freem等でDLできます。

同じくフリーゲームとして公開されている「ビクトリー」シリーズの5作目として作られたようです。そちらは未プレイです……

作者の方は本当にいろいろやっているみたいで、wikipediaのページを見て驚きました。ゲームも作り続けているみたいで、今ではSteamで作品を出しているみたいです

これは、
ものがたりです

ねぇさびしいよ アンディー・メンテ

概要・短評

凄いです。

この一言でプレイしてほしいな… 短いので

人生の内で15分をこの作品に費やす価値は間違いなくありますよ。

ページを閉じてDLしましょう。

 
 

もう少しちゃんと紹介します。

ゲームとしてはビジュアルノベルで、SFな世界観が特徴です。

UIはミニマムで、読み進めるボタン1つしか存在しません。
2002年だとしても割と攻めている…?

画面には読み進めるボタンしかありません(下が切れててすいません)

 
グラフィックはペイントソフトで手描きしたもののようで、お世辞にも美麗とは言えません。なんとエイリアスまで載っています。

これを技術力の問題と断じてしまうのは簡単ですが、プレイするとこのグラフィックの威力に気が付くんですよね。この作者の作品を他に知らないので想像でしかないのですが、意図的にこのようなグラフィックにしているのではないかと。

 
簡単に言ってしまえば、このグラフィックと徹底したシンプルなUIは、作品全体に神聖なイメージを与える効果をもたらしています。

すごく雑に括るような表現で申し訳ないのですが、普段我々が見ている美麗なグラフィックは「見せるため」に書かれたものです。一方で本作のグラフィックは、作者の心象風景をメモ帳にそのまま書きなぐったような、そんなイメージを与えて来るんですよね。そのため、グラフィックに何か意図が隠れているのではないかと探って見てしまいます。

更に、本作がフリーゲームであり、多くのプレイヤーにとって「得体のしれない物」である事も影響し、作者の心を覗き見るような背徳感を感じます。結果としてややシリアスな心持ちになるのですが、この心の状態が作品の内容ともしっかりシンクロしていて、すっと作中世界に没頭して行けるようになっています。

 
ストーリーの方にも少しだけ触れておきましょう。
世界観は先述した通りSFなのですが、王道からはやや逸れた奇想小説のような内容。
語りの雰囲気も含め、短編集に収録されていそうな雰囲気を醸し出しています。
 
独自性のある魅力的なSF世界観、決して理想郷とは言い難い世界の生々しいエピソードの数々、そして衝撃のラストが見どころ。複数の強烈なメッセージ性を持っていながら、問題提起だけを行い、それに対する回答は明白な形にすることなく終わります。作品の持つ神聖なイメージによる圧迫感の影響もあり、プレイ後には何も言えなくなってしまいました。

とにかく何かすごいものを見たな……という気持ち。分かりますよね…?

 

コアとなるテーマに関しては、ネタバレにもなるので触れません。
ただ、2023年現在こそ、本作のテーマが議題になりうるのかなぁとも。

 

とりあえずプレイしましょう!!

 

ゲーム音楽ピックアップ

終盤に1曲だけ流れます。