ジャンル | 一人称3Dパズル |
メーカー/ブランド | 開発: Sad Owl Studios / 発売: Thunderful Publishing |
発売年 | 2023 |
ハード | Win(Steam) / PS5 |
お気に入り度(0~10) | 6+ |
プレイ状況 | クリア/Steam版 |
Viewfinder
— SPD (@SPD_9X2) 2023年10月18日
カメラで空間を撮影、写真を設置すると撮った空間をその場に再現できるシステムを活用した4h程の3Dパズルゲーム
Superliminalを彷彿させる錯視を用いた演出や、ストーリー要素、シークレットも盛り込まれており、アドベンチャーゲーム要素も楽しめる
ラストの時間制限ステージが楽しかった pic.twitter.com/rb4DJqpD5e
twitterでプレイ映像を見たことがあり、気になっていたのでセールをきっかけに購入
4hほどの長さでしたので、2日に分けてプレイしてクリアしました
Viewfinder とは?
www.youtube.com
Sad Owl Studios が開発。2023年に発売された3D一人称パズルゲームです。
SteamでWin版が、コンソールではPS5版が発売されています。内容は恐らく差が無いと思われます。
日本語ローカライズ有。翻訳の質は、非常に良いという程ではないが、機械翻訳レベルは遥かに超え、遊ぶのに全く問題無いレベルです。
概要・ゲームシステム
カメラが本当に世界をそのまま切り取る機械だったら?というコンセプトを推し進めたようなシステムが特徴の一人称パズルゲームです。
パズルと解く際に鍵となるのは「写真」と「インスタントカメラ」の2つのアイテムです。
写真は、カメラで撮るか、ステージ中に落ちている物を拾う事で入手できます。そして、写真を目の前に掲げ、手放すことでその場に写真の中の空間が再現されます。このシステムが本作の目玉ですね。
インスタントカメラは、ステージ中の写真を撮ることができるアイテムです。撮った写真は再びステージ中に再設置することができます。
各ステージごとに撮る事ができる写真の枚数が決まっているので、どこを撮ってどう使用するか? 写真をどう節約するか?が問われる構成になっています。
各ステージには、ワープ用のマシンが設置されていて、このマシンを起動することで次のステージに進めるようになっています。マシンには電源が必要だったり、そもそも壁にワープマシンがくっついていたり…… カメラと写真を駆使してステージをクリアしていきましょう。
ステージには、たくさんの変な写真が置かれています。中には絵画や、ゲームの画面など、写真ではないものまで。これらも普通に写真同様に設置することができ、おかしな空間がそこに再現されます。
設置するまで何が起こるか分からないので、これらの変な写真を手に入れた際には、まるでびっくり箱を前にした時ようなドキドキ感があります。
その他、錯視や遠近法を利用したおかしなギミックも多数仕込まれています。この辺はSuperliminalに近いですね。
本作はパズルがメインですが、ストーリー要素も用意されています。
内容には触れませんが、ステージ中に残された資料とボイスメモ、そして作中で出会うあるキャラクターとの会話がメインで進行します。
更に、多少のシークレット要素と、多数の実績が用意されています。
シークレットはステージ中に隠されたアイテムを探すシンプルなものです。
実績は、ステージ中にあるギミックを用いて特定の行動をすると解除されるものが多いです。カメラと写真を使って色々遊んでいるうちに解除されることが多いです。
良かった点
- 「空間を切り取り、再設置する」新鮮な体験
本作のゲームプレイのメインとなる写真とインスタントカメラのシステム。これが斬新で新鮮、このシステムを体験できること自体が作品の強力なアイデンティティになっています。
特に最初は、つい色々試したくなってしまい全然前に進みませんでした。それだけただ触っているだけで楽しいゲームシステムに仕上がっていると言えると思います。
- 多数の変な写真と、遊び心に溢れた実績
作中に登場する多数の変な写真(絵など)は、設置するまで何が起こるか分からない、びっくり箱を前にした時ようなドキドキ感があります。
中に何らかの固有ギミックが仕込まれている写真も多く、例えば ムンクの「叫び」を設置すると周囲にうるさい叫び声が響き渡ります。
手元にカメラがあると、「叫び」を沢山複製して、もっとうるさくしてやろうとつい考えてしまうのがプレイヤーの性。実際にこれをやってみると、実績: 「悲鳴楽団」が解除されます。 このように、本作にはプレイヤーがついやってしまう遊び心のある行動に対してしっかりと実績が用意されています。この実績の存在により、カメラと写真を使って好奇心の赴くままに遊ぶ行動が無意味な時間の浪費ではなく、有意義な行動となっているのが素晴らしいです。
気になった点
- ストーリー要素
本作のストーリー要素はコンテンツ量自体は結構多いのですが、説明不足なのか私の理解力が足りないのか、最後までプレイしても結局何がしたかったのかよくわかりませんでした。
世界観の概要はつかめたのですが、分かりやすいストーリーの流れが無いです。そのため、世界観の説明だけをして終了したイメージになってしまっています。SFな世界観なので、ワクワクするアイデアに溢れた設定を提示してくれればまだ良かったのですが、その点も至らないかな…という印象です。
また、ラストの少し前に盛り上がるシーン(と開発が想定してあるであろうシーン)が用意されていたのですが、驚くほど心動かなかったので、作中の雰囲気とのギャップから、少し寂しい気持ちになりました。一番最後のステージの盛り上がりは素直に楽しめたので、これに関しては多少挽回と言ったところでしょうか。
ストーリー要素に期待してプレイするのはあまりオススメしません。
- 「Superliminal」が強すぎる
かなり残酷な指摘なので、書くか迷ったのですが…
本作は3D不思議体験ゲームとしては「Superliminal」に影響を受けていると思います。本当に影響を受けてるかは定かではないですが、当該作品をプレイしている人であれば、ほぼ全員がそう感じるのではないかな……と思う程度には類似の要素が登場します。
そして、ここからが問題なのですが、本作は不思議体験ゲームとしては完全に「Superliminal」に届いていません。それどころか、本作の不思議体験要素はほぼ全て「Superliminal」で登場しています。そのため、既視感を覚えることが多かったです。「Superliminal」がアイデアに溢れた作品だったため、多少被ってしまうのは仕方ないにしろ、本作独自の面白要素が欲しかったです。
- パズルがやや単調
パズルに関しては、堅実な完成度になっていて、パズルゲームとしてちゃんと遊べます。難易度もちょうど良く、詰まってしまうことがない絶妙な調整です。
ただ、ステージの構造を把握すると順当に答えが分かるものが多く、解法のレパートリーが少ないので作業感のあるステージも多いです。
また、解法が鮮やかで感動するようなステージがほとんど無いのが残念でした。ただこのように感じるのは、「スイカ」の登場するステージが突出して素晴らしい完成度だったからかもしれません。
総評
ストーリー / 不思議体験 / パズル の全ての面で本作独自の強みに欠け、Portalライク/ Superliminalライクなゲームとして総合的に見るとイマイチかなぁ…という印象の作品です。
ただ、コンセプトである写真とカメラのシステムは新鮮で面白く、このシステムで好奇心の赴くままに楽しく遊ぶ場としては非常に良く出来ていると思いました。
トレーラーをみて、シンプルにこのゲームシステムに触れてみたいと感じた人にはお勧めです。
ゲーム音楽ピックアップ
本作の楽曲はlo-fiなアンビエント寄りの楽曲が多いです。
そのため、あまり印象に残った曲はありませんでした。