ジャンル | パズルプラットフォーマー |
メーカー/ブランド | NamaTakahashi, Tsuyomi |
発売年 | 2021 |
ハード | Win(Steam,itch.io) , Switch |
お気に入り度(0~10) | 7 |
プレイ状況 | 通常クリア&裏ENDクリア&全実績解除/Steam版 |
ELEC HEAD
— SPD (@SPD_9X2) 2023年4月29日
金属製の床と電動のギミックで構成されたステージを、頭が電源で、体と頭を切り離せるプレイヤーキャラクターで攻略していくパズルアクション
如何に通電させるか、もしくはさせないか、独特の思考が要求される新鮮な体験でした
豊富なシークレット探しも楽しい良作 pic.twitter.com/0vwp6ecIH2
Twitterで開発中の映像を何度か見かけたことがあり、いつかプレイしてみたいと思っていました。ある日、セールをしているのを見かけたため購入し、即日プレイしてみました。
ElecHead とは?
インディーゲーム開発者のNamaTakahashi, Tsuyomi 両氏によって開発されたサイドビューのアクションプラットフォーマーです。Steamで配信されているほか、itch.ioでも配信されているようです。コンシューマー版としてSwitchのDL版もあります。恐らく配信プラットフォーム・ハード間の内容の差異はないと思われます。
概要・ゲームシステム
2Dサイドビューのパズルアクションプラットフォーマーです。頭が電源となっている主人公「ELEC HEAD」を操作し、パズルを解きつつ先へと進んでいくことが目的となります。
ステージは通電する壁や床、そして通電によって稼働するギミックで構成されていて、ギミックに如何に電気を通すか、または通さないかを考えてプレイしていくことになります。ギミックには足場のようなプレイヤーの助けとなるものに加え、レーザーのようなプレイヤーにとって危険なギミックもあります。作品全体を通して、ステージは通電によってのみ動くことが徹底されており、自律的に動く敵や、周期的に動き続ける足場などはありません。
ゲームの序盤はステージをよく観察して、どの箇所に触れてはいけないのか、逆にどの箇所に触れるべきなのか等を考えることで簡単に突破できます。
少し進めると、頭は上方向・左右方向に勢いよく射出して切り離す能力を獲得します。ここからが本作の本番と言っても良いですね。切り離した頭は地面に落下し、触れた箇所を通電させます。残された体部分は、頭が付いている時と同様に移動やジャンプができます。この能力を活用して、ジャンプでは届かない高所に頭を投げてギミックを稼働させたり、逆に通電させたくない床を避けるために頭を切り離しておいたり……様々なアイデア溢れるシーンを切り抜けていきます。
プラットフォーマー系作品によくあるように、本作にも多数のシークレットが隠されています。メインとなる収集要素のカードキー(?)は全て集めきることで裏エンディングを見ることができます。その他にも、画面の配色を変えるパレットや、プレイヤーが超強化される隠しアイテムなんかもあるみたいです。相当数シークレットがあり、一部は非常に難しいため、全てコンプリートしたプレイヤーの割合はそこまで多くないのではないでしょうか。また、マップ中にはいくつかワープポイントが用意されているので、通り過ぎてしまっても戻って収集要素を探すことができるようになっています。
グラフィックは、青系と黄色系の2色のみで表されたシンプルで洗練されたものになっています。通電・非通電の区別が明確で本作のテーマにピッタリと合った表現だと思います。先述のパレットで配色を変えることも出来ます。
また、本作は言葉を一切使用しない点を徹底しています。INSIDEなど、あえて言語を使用しないで表現する試みを行っている作品は数あれど、本作はゲーム中の設定画面やSteamのストアページ(!!)に至るまでありとあらゆる箇所で言語による説明を一切行っていません。ここまでのこだわりは凄いと思いました。
良かった点
- 丁寧に丁寧に構築された小規模ながらも濃密なゲーム体験
本作は、通常クリアまで3時間程度の短い作品です。しかし、その短いプレイ時間の密度は高く、シンプルなシステムを最大限活用した様々なパズルシーンが登場します。複雑な状況整理をメインに据えたパズルというよりは、ギミックの仕様の隅を突くような思い付きが重要な作風です。総じて難易度は高くないので、少し悩んではすぐに思いつき、サクサクと進んでいける心地よさがあります。
少し飽きが来た頃に明確な終盤がやってきて一気に盛り上がり、しっかり終わるのが好印象。徹底的に磨き込まれた職人の伝統工芸品を思わせる素敵な小品に仕上がっています。
- 触っているだけで心地よさが感じられる抜群の操作性
本作の操作性は、既存の2Dアクションの中でも非常に軽快で、触っているだけで心地よいレベルに達しています。指先とキャラクターが直接接続されたような感覚は、同じく抜群の操作性で有名なCelesteを彷彿とさせます。特に、本作の一部の個所では空中で頭を拾い、着地前に再度放り投げるといった忙しい操作が要求されるシーンがありますが、その複雑な操作を練習無しで一発で出来てしまったのには自分でも驚きました。
純粋にアクションの挙動だけでなく、ジャンプ音や着地音もイメージ通りで完成度が高く、操作時の心地よさに貢献していると思います。
- 沢山仕込まれたシークレット
シークレット探しは2Dプラットフォーマーにおいて、王道の2周目要素の1つです。本作においても多数のシークレットが仕込まれていて、リプレイ性の向上に貢献しています。本作のシークレットの特徴として、裏エンディングに関連するシークレットだけは入手が簡単になっていることです。一方で、それ以外はかなり高難易度になっています。簡単なシークレット要素と、難しいシークレット要素を共存させることで、多くのプレイヤーが遊ぶであろう裏エンディングまではシークレットの枯渇が起きないようになっています。
これらの、やや過剰気味に仕込まれたシークレットは、「何かありそう!!」と思ったときに高確率で実際に何かがあるといった形で楽しさに貢献しています。また、シークレット探しはパズルゲーム特有のストレスを軽減する効果も担っていると私は考えています。純粋なパズルゲームだと、早く進めるという事が正義という思考になりがちです。長時間同じシーンに留まってしまうことは時間の損失であり、時にはイライラすることも。しかし、本作ではじっくりシークレットを探すという2つ目の遊びを同時に行うことになります。そのため、ゆっくりと時間をかけて進んだり、明らかにパズルとは関係のない行動を取ってみることも正義となるので、進まないことが必ずしも悪いことではなくなるのです。
- バランスのいい実績
本作のSteam実績は、普通にプレイしたプレイヤーが少しだけ頑張ると全解除できるようになっています。実績全解除をするとゲームを遊び切ったな~という感じがして気持ちがいいですね。
気になった点
- ストーリーはほぼ無い
本作にはストーリー要素は本当に微量しかありません。二つの意味深なエンディングが何を意味しているのか、もう少し想像を掻き立てられる要素があればよかったと思いました。
- 視覚的変化には乏しい
所々視覚的に訴えかけてくるシーンはありますが、基本的にはずっと同じイメージのシーンが続きます。そのため、視覚的刺激が不足してやや飽きが来やすいかもしれません。
総評
小粒ながら、端正に綺麗に仕上がった作品です。
強烈に印象に残るわけではありませんが、しっかりとした満足感を与えてくれるいい作品です。肩の力を抜いて気軽に遊べる小品を探している方にはおすすめな作品です。
ゲーム音楽ピックアップ
本作の音楽は、Youtubeに公式音源がアップされています。
- Mini Game
- Area 5 & 6
youtu.be明るい前半と比べると一気に落ち着いて、終盤を感じさせるのが良いですね
- Return trip
youtu.be一番の盛り上がりの曲。ステージの見え方が全然変わるのが面白い。本作は全体的に音楽による演出が上手いですね。
- Saved the Earth