【ゲームレビュー13】TACOMA

レビュー一覧

ジャンル ウォーキングシミュレーター
メーカー/ブランド Fullbright
発売年 2017
ハード Steam(Epic,GOG.com etc...)
お気に入り度(0~10) 7
プレイ状況 エンディング回収/Epic版

 

 

Epicの無料配布で手に入れたのでプレイ。3~4h程度の短さながらも濃密なゲーム体験を味わえる作品でした。

 

Tacoma とは?

store.steampowered.com

2017年に発売されたウォーキングシムです。宇宙ステーションに乗り込み、そこで起きた事件の謎を解いていく作品です。

各種PCゲームプラットフォームで配信されています。海外ではPS4版もあるようです。

 

概要

ゲームは、あなた(プレイヤー)が宇宙ステーションに訪問するところから始まります。船を宇宙ステーションにドッキングさせ、単身ステーションに乗り込みます。ステーションで何が起こったのか?主人公の目的は何なのか? ステーション内部を探索し謎を解き明かしていくゲームとなっています。

 

本作はゲーム開始からゲームの終わりまで全て一人称視点で進むのが特徴です。例えば、宇宙船内にはたくさん小物が置いてあり、それらを調べることができるのですが、その際にも画面が切り替わることはなく3D空間上で実際に持ち上げて調べることになります。また、メニュー画面もARのように視界に浮かんで表示されます。没入感を損なわないよう、徹底的にゲーム的な割り込みを無くし、全てを作中世界で描くようにしているようです。

 

本作最大の特徴として、「AR映像」があります。作中の宇宙ステーションでは、そこで暮らしていた人々の行動がAR映像として撮影されており、プレイヤーは映像を見つけることでそれを再生することができます。
AR映像を再生すると、人型がホログラムとして周囲に現れ、その時誰が何をして、何を話したかが詳細に再生されます。再生中もプレイヤーは動き回ることができ、何度も映像を再生し直し、一時停止し、巻き戻して映像に隠された情報を調べ尽くすことが重要になっています。ホログラムが鍵のかかった部屋に入ってしまうこともあり、そこでその人物が何を話したか知るために謎を解く必要があったりなど、謎解きとAR映像が上手くマッチしています。

良い点

  • AR映像と小物が生み出す没入感
     
    プレイヤーが歩き回っている空間にホログラムとして人々が出現するAR映像、そして手に取って調べることができる小物の数々は、物語が進んでいる世界と今プレイヤーが見ている世界の壁を完全に取り払い、「ここで事件が起きたんだなぁ…」と生々しく感じるほどの没入感を生み出してくれます。空間のありとあらゆる場所に情報が詰め込まれており、隅から隅まで探索するとしっかりそれに応えてくれます。
     
  • 説得力あるサスペンス
     
    AR映像や、船内の様子、様々な文書、そしてたくさんある小物から断片的に得られる情報の数々は、船で起きた事件への想像力を掻き立ててくれます。探索を進めるにあたって公開される情報の順番も良く練られており、サスペンス・ストーリーとしてドキドキ感の高いの高いものになっています。
     
  • 高品質なグラフィック
     
    グラフィックは、リアルで綺麗で没入感を増してくれます。特に、船員が居住をしていた区画では部屋の中の生活感がリアルに表現されていて良かったです。
     
  • ローカライズ
     
    本作では、小物にも文字情報が書かれていることが多いのですが、小物のローカライズ原文をそのまま日本語に置き換えるのではなく、原文の上に日本語が浮かび上がるような形で表示される形式になっています。そのため、元々のデザインを損なうことなく、字幕のような感覚で日本語を読むことができます。
    日本語ローカライズで、無理やり日本語に置き換えることでデザインが悪くなってしまった例は枚挙にいとまがありません。本作のローカライズ手法はお手本とも言うべき素晴らしいアイデアだと思います。

 

悪い点

  • ボリューム面
     
    3h程度で終わるので、ややボリューム不足感があります。定価だと高いと感じてしまう人が多いでしょう。
     
  • インパクトに欠ける
     
    シナリオの完成度は高いのですが、ややインパクトに欠けます。3時間で描ききるストーリーとしてはよくできているとは思いますが、強烈に記憶に残るシナリオかというと微妙かもしれません。

 

総評

小粒な作品感があり、ぜひ遊べ!!という程は印象には残りませんでした。ただ、小粒な作品としてはよくできていると思うので、短時間で充実したゲーム体験がしたい方にはおすすめです。定価は高いので、セール中を狙って買っておき、ふと気になった時にプレイするぐらいが良いのではないでしょうか。

 

ゲーム音楽ピックアップ

本作は曲自体ほぼありません。