【ゲームレビュー43】OutRun 2006: Coast 2 Coast

レビュー一覧

ジャンル ドライブ
メーカー/ブランド SEGA
発売年 2006
ハード Win,PS2,PSP,Xbox(全て国外のみ)
お気に入り度(0～10) 8+
プレイ状況 ACモード 2&2SP 両方で全ゴール到達 + 15コースモードクリア/Win版(ドイツ版)

　

　
本作、日本では未発売作品なんですよね。実際はこの作品の更なる移植がPS2に出ているのですが、プレミア価格になっているので入手は厳しいです。
収録されている初代Outrunのアレンジ曲が本当に大好きで、5年以上ずっとプレイしてみたいと思っていたのですが、中々機会が得られないうちに数年経ち……
ある日ヤフオクに出品しているのを見つけて勢いで購入しました。ゲームは遊べばプライスレスな体験が得られるから実質無料！！

まぁ酷いプレミア価格の場合は流石に躊躇するのですが……

結果としては期待を裏切らない楽しい作品でした。買って良かった。
　
まぁ2006の独自要素はほとんど遊んでいないんですがね……
また、タイムを詰めるような遊び方もしていません。
そのため実質的に、2+2SPをクリアしただけの時点での感想となっていますがどうかご容赦を！！
　

OutRun 2006: Coast 2 Coast とは？

セガが2003年にリリースしたアーケードゲーム「OutRun 2」、さらにそのコース追加版の「OutRun2SP」をカップリング移植し、新規追加モード等を加えたコンシューマータイトルです。ちなみにアーケード版OutRun2は、現在(2023/03/04)秋葉原のGiGO3号館の最上階のレトログに置いてあり、何度か遊んだことがあります。

日本では「OutRun2」が2005年にXboxに移植されました。その後、2SPの要素を含んだ移植版「OutRun2006: Coast 2 Coast」が海外限定で販売。Win版の他に、PS2, PSP, Xboxでも出ているようです。2007年に国内向けに更に新要素を追加したバージョン「OutRun 2SP」がPS2向けに発売されました。

日本版PS2向け「OutRun 2SP」は、超プレミア価格になっていて、ヤフオクだと現在(2023/03/03)相場は25000円くらいみたいです。「OutRun2006: Coast 2 Coast」は輸入盤が出回っていて、10000円以下で手に入るのでこちらを探すのがおすすめです。

ただし、PS2,PSP,Xboxはリージョンロックがあるのでソフトを入手しても対応する地域の本体が無いと遊べません。(エミュレータを使う手もありますが)

そのため、win版を探すのが最適解だと思います。ただし、win版はディスク無し起動ができないので注意です。(割れ対策だとは思いますが相当面倒くさい仕様です)

ちなみに、過去に「OutRun2006: Coast 2 Coast」のSteam版が海外限定でリリースされていたことがありますが、現在は全世界で購入不可です。

セガは国内市場と海外市場を完全に分けてソフトをリリースしている印象があり、ソフトが国内だけ入手困難になっていることが割とある印象です。DL版をわざわざ国内購入不可にするのはやりすぎな気もしてしまうんですよね。

　

概要・ゲームシステム

レースゲームに詳しくないので、いまいち要領を得ない説明になっているかもしれませんが、ご容赦ください。リリースまでの経緯が複雑なタイトルなので、いくつかの項に分けて紹介します。

  • アウトランシリーズの特徴
    　
    まず、シリーズを通した特徴について述べておきます。そもそもアウトランシリーズはレースゲームではなく、ドライブゲームになっています。
    順位を競うのではなく、制限時間が無くなる前にゴールまでたどり着くのが目標です。チェックポイントを通過すると、制限時間が伸びるシステムを採用しています。これは、アーケードのレース系ゲームでは一般的な仕様だと思います。慣れない内は序盤でゲームオーバーになってしまいますが、慣れてくれば一気に終盤まで行けるようになります。
    また、アウトランシリーズの伝統として、コースが分岐システムを搭載しています。各ステージの終わりに左右に道が分かれていて、どちらを選ぶかによって次のステージが変化します。
    他には、スタート時に曲を選ぶ要素があり、数曲の中から好きな曲を選択できます。
    プレイヤーカーはシリーズを通して赤いフェラーリモチーフの車で、2を始めとする一部作品ではフェラーリ社の公式ライセンスを取得しています。
    　
  • アウトラン2, 2SP について
    　

    ここからはアウトラン2, 2SPについて述べておきます。

    アウトラン2はシリーズとしては初めて完全3Dになった作品です。

    シリーズ伝統の楽曲選択では、過去作のアレンジに加え、新曲も選択できます。

    シフトはAT,MTから選択可能で、車種も性能が異なるもの複数から選べます。

     

    操作面では、過去作には無かったドリフトが特徴的です。ブレーキを一瞬入れるとタイヤが滑り、その状態でハンドルを切るとドリフト状態に移行できます。ドリフト含め、車体の制御が同時期の他作品と比較しても容易らしいです。

    　
    2SPの最大の変更点はステージの一新です。2のステージも遊ぶことができるので、2SPはステージ数の面ではかなりのボリュームになっています。
    また、2SPから新要素「スリップトリーム」が追加されました。これは、敵車の後ろに付くことで加速度や最高速度が上昇するシステムです。
    　
    ゲームモードは、基本の「アウトランモード」、出されるお題に答えながらゴールまで走る「ハートアタックモード」、敵車無しでタイムを詰める「タイムアタックモード」の3つがあります。アウトランモード・タイムアタックモードには、15コース全てを連続で走る「15コースモード」が収録されています。アーケードだと15コースモードは3クレジット必要みたいです。
    　
  • OutRun2006: Coast 2 Coast　について
    　
    まず、アーケード版のOutRun2SPをそのまま収録しています。移植度は分かりませんが、特に酷いという話は聞かないので、良好な移植なのだと思います。アーケード版の移植とは別に、通常モードを搭載しています。通常モードには、アウトランモードやハートアタックモードの他に、独自要素のCoast 2 Coast モードが搭載されています。この独自要素については、殆ど触っていないのであまり把握していませんが、お題の付いたミニレースを行っていくモードです。また、プレイをしたポイントで車種や曲などを解禁していく要素もありますが、アーケード版の2SPではOutRun2006の新規要素以外は最初から解禁されているため、これやる必要ある？みたいな気持ちになり、放置しています。
    　

良かった点

  • 多彩な景観のコースを疾走する楽しさ
    　
    アウトランシリーズはドライブを楽しむゲームというコンセプトを強く感じます。そのため、ステージの景観にはシリーズを通して非常に力が入っています。本作のコースは、それぞれのステージが世界的に有名な観光地などをモチーフにしています。1面の海岸線「Sunny Beach」をはじめ、ネオン光る「Casino Town」、遺跡の中を疾走する「Legend」、綺麗な星空を背景にロケットがそびえ立つ「Milky Way」など一度見たら忘れないような強烈なステージが多く収録されています。リアリティよりもプレイ中の視覚的な楽しさに潔く振り切っていて、ただプレイしているだけで楽しい作品に仕上がっています。
    　
  • 取っつきやすい操作性
    　
    本作から追加されたドリフトは、かなり扱いやすくなっています。誰でもすぐに使いこなしてコーナーを綺麗に曲がれるようになると思います。流石に終盤のコースにはきついコーナーや連続したコーナー等も有り一筋縄ではいきませんが、うまく切り抜けられた時の爽快感は中々のものです。
    全体として、操作の難易度を極限まで下げ、ステージ側で難易度を上げるバランス調整となっています。そのお陰で難しいコースを簡単に切り抜けられる楽しさを誰でも味わえる作品に仕上がっています。
    　
  • スリップストリーム
    　
    2SPで追加された、「スリップストリーム」は敵車の後ろに張り付くと加速度や最高速度が上がるシステムです。リスク&リターンの取れた良いシステムで、直線ではついつい狙いたくなってしまいます(そして衝突するまでがワンセット)。
    一般的にレースゲームはカーブ命で、直線区間はあまり考えることが無いことが多いです。このシステムは直線区間にもプレイヤーが考えるべきことを導入し、ゲーム性の向上に大いに貢献しています。
    　
  • 素晴らしい音楽
    　
    アウトランシリーズのウリの1つである選択式の音楽システム。その収録曲のクオリティが本作も非常に高いです。初代の「Magical Sound Shower」「Passing Breeze」「Splash Wave」は素晴らしいアレンジが収録されています。特に、「Passing Breeze」のアレンジは個人的に大好きです。
    他にも、新規楽曲が4曲収録されています。「NIGHT FLIGHT」は珍しいボーカル曲になっています。
    　
  • 15コースモード
    　
    15コースモードは、15個あるステージを順に繋いだモードです。1面あたり1分くらいなので、15分強のプレイ時間となります。通常モードよりも難しいため、通常モードに慣れた後のチャンレンジ要素としてちょうどいい立ち位置になっています。また、少し遊びたいと思ったときにちょうどいいボリューム感で、つい何度も遊んでしまう良さがあります。

気になった点

  • ディスク無しで起動できない
    　
    ゲーム内容とは直接関係しませんが、ディスク無しで起動できない点はかなり嫌でした。コピー防止策なのはわかりますが、PC版の良さを殺してしまっています。特に、本作はふと思い立った時に少し遊ぶタイトルとして最適なので、ディスクをセットするという障害があるのは頂けないです。
    　
  • 通常モード内の重すぎる解禁要素
    　
    本作の通常モードは、最初は色々と要素が制限されており、プレイをして溜めたマイルを用いて要素を解禁していくシステムになっています。15コースモードも最初は遊べません。ただ、マイルの獲得数が非常に少なく、新車種を解禁しようとしたらそれだけで10回程度アウトランモードを遊ぶ必要があります。
    私も最初はチマチマ解禁していたのですが、収録されているアーケード版2SPで十分！！となってしまい、通常モードは触らなくなってしまいました。
    　

総評

アウトラン2, アウトラン2SPはシリーズの伝統と魅力をしっかり守り、正統進化した続編として申し分ないタイトルになっています。

OutRun2006は、アーケードの移植としては高い完成度です。ただ、独自要素は重い解禁要素が足枷となってしまっています。

入手は困難ですが、初代をプレイして気に入った方なら絶対楽しめるはず！！

セガさん、再移植お願いします……！

 

ゲーム音楽ピックアップ

ここから本編です。公式音源が上がっているのありがたい…！！

  1.  PASSING BREEZE

    youtu.be初代の3曲のアレンジの内で私が一番好きな曲です。レース終盤に転調してラスサビが来るのが最高です。最初にプレイしたときは転調のタイミングで泣きそうになりました。
    　

  2. SPLASH WAVE

    youtu.beアウトランシリーズを知るきっかけになった曲(のアレンジ)。終盤にアツく盛り上がるのが最高です。

    　
  3. MAGICAL SOUND SHOWER

    youtu.be初代の3曲の中では一番人気の曲ですね。2ではかなりお洒落なアレンジになっています。
    　

  4. SHINY WORLD

    youtu.be哀愁溢れるギターが素晴らしい2の新曲。NIGHT FLIGHTとどちらが好きか聞かれるとかなり迷います。
    　

  5. NIGHT FLIGHT

    youtu.beシリーズ恐らく初(？)のボーカル曲で2の新曲。力強いメロディが凄く好きです。