【ゲームレビュー70】未解決事件は終わらせないといけないから

レビュー一覧

ジャンル 短編推理ADV
メーカー/ブランド Somi
発売年 2024
ハード Steam(Win/Mac)
お気に入り度(0~10) 8
プレイ状況 全実績解除 / Steam版

 

 

インディーゲーム好きの方々の間でかなり話題になっていた作品です。

圧倒的に好評の評価も納得の完成度でした。

私個人としては、Somiさんの作品はReplica以来のプレイですね。

重大なネタバレは避けて紹介します。

 

未解決事件は終わらせないといけないから とは?

store.steampowered.com 

Replica, Legal Dungeon, The Wake: Mourning Father, Mourning Mother など、インタラクティブアドベンチャーゲームを多数開発している韓国のインディーゲーム開発者Somi氏が2024年1月にリリースした新作です。

SteamでWin/Mac版が販売中です。とても高品質な日本語あり。

 

概要・ゲームシステム

#未解決事件は終わらせないといけないから

2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。 警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。  

清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。 彼女は清崎が解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。

清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。

 

―― Steamストアページより引用

 

本作は、ちょっと特殊なゲームシステムのアドベンチャーゲームです。

基本的には文字を読むゲームなのですが、ビジュアルノベルでは無く、ポイント&クリックで物語を構成する文章自体を並び変えていくゲームです。

 

さて、物語は一人の警官が未解決事件を終わらせるため、「清崎 蒼」 元警部の元を訪ねてくるところから始まります。彼女の記憶は混濁していて、事件の記憶は曖昧。警官のことを犀華ちゃんの亡霊だと思い込む程です。

 

清崎 蒼は警官との会話をきっかけにして、少しずつ事件の事を思い出していきます。

そして、思い出した記憶は「証言」という形でプレイヤーに与えられます。

この証言を使って事件の真相を推理していくのが、本作のメインパートです。

清崎が最初に思い出した証言

まず、証言の中には「キーワード」が含まれていることがあり、そこから連鎖的に新たな証言を思い出すことができます。

#公園 というキーワードから新たな証言を思い出す

得られる多数の証言は、時系列や発言者がぐちゃぐちゃになっています。

誰が発言したか、どの順で発言したかを推理し、適切に並び替えて整理をしていきましょう。適切に並び替えられると、「鍵」が入手でき、さらに新しい証言を得ることができます。クイズに答えないと入手できない証言もあり、推理力も試されます。

 

多数の証言を集め、繋ぎ合わせ、事件の真相に迫っていきましょう。

 

良かった点

  • 静かに、それでいて強烈に演出されるサスペンス感
     
    本作が絶賛される理由は、やはりサスペンスというジャンルの魅力を最大限発揮できているからだと思います。
    誘拐事件という題材由来の不気味さ、証言の中に含まれる不可解な発言の放つ不気味さでプレイヤーを引き付け、疑問の解決と新たな疑問の提示を繰り返し最後まで高い緊張感を保つ。本作は、サスペンスの王道の面白さを高い水準で提供してくれます。
     
    本作のストーリーは後から事件を追うという形式です。普通ならば、リアルタイムに物語を綴る形式と比べると、どうしても緊張感が落ちてしまうはず。
    しかし、本作では登場人物の言葉で物語を綴るという発明により、事件当初の緊迫感が生々しく感じられるようになっています。
     
  • ダークで質素なビジュアルと、BGMが増幅する緊張感
     
    本作のダークなビジュアル・BGMも、プレイ中の緊張感の向上に一役買っています。
    特に、BGMにはゲームが進行する度に音が増えていく仕掛けがあります。
    終盤に近付くほど焦燥感が増していき、真相に段々と近づいていることを感じさせる演出になっています。
     
  • 推理ゲームとしての面白さ・バランスの良さ
     
    世の中には、推理ゲームを名乗っていながら、実際には殆ど推理要素が無いゲームも多数存在します。しかし本作は、しっかりと推理をさせてくれます。

    誰が発言したのか、どの順で発言したのか……
    プレイヤー自身が推理し、並び替え、情報を整理していくゲームシステムがこれを実現しています。
     
    正しく証言を並び替えると正解であることを教えてくれるので、袋小路にハマり、詰まってしまうことは無いです。
    しかし、証言自体の数があまりに多いので、何も考えないで解けるほど甘くはありません。
    総じてバランスが良い難易度に収まっていて、誰もが推理を楽しめる構成になっていると思います。
     

気になった点

  • ゲームシステムや操作の説明が不足している
     
    本作は全体的に、ゲームシステムや操作の説明が不十分に感じました。
    そのため、最初は何をすれば良いのかが分からず困惑しました。
    他には、便利機能に気が付かなかったので、面倒なキーワード探し作業を毎回気合で行っていました。
    この説明不足さも、不可解さを増幅させる演出の一環なのかもしれません
     
    これからプレイをする方は、右下のUIに注目しつつ遊ぶと良いと思います。
     

総評

サスペンス+推理ゲームとしての完成度の高い作品でした。
気になった方は、ぜひプレイしてみてください。
 
エンディングには、作者の思いの詰まったメッセージが書かれています。
是非プレイ後には、それぞれのキャラクター達の「嘘」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
 

ゲーム音楽ピックアップ

store.steampowered.com

  1. Ending (A Secret for You)

    エンディングです。感傷的でありながら、力強い。
    本作の終わりにぴったりの良い曲です。

 

【ゲームレビュー69】メトロイド フュージョン

レビュー一覧

ジャンル メトロイドヴァニア
メーカー/ブランド 任天堂
発売年 2003
ハード GBA, Switch , (WiiVC, 3DSVC)
お気に入り度(0~10) 8+
プレイ状況 クリア / Switch版 (GBA for Nintendo Switch Online)

 

 

スーパーメトロイドが好きだったので続編である本作をプレイ。

やっぱりメトロイドは面白いですね!!

ゼロミッションもswitch onlineに来て欲しいです。

 

メトロイド フュージョン とは?

 

topics.nintendo.co.jp

youtu.be
 
任天堂ゲームボーイアドバンス用ソフトとして2003年に発売した探索アクションゲーム(いわゆるメトロイドヴァニア)です。

一応このジャンルを知らない人向けに説明しておくと、広大なフィールドを敵と戦闘しながら探索し、キャラクターのスキルを解放しながら探索可能な範囲を広げていくタイプのアクションアドベンチャーゲームです。

初代「メトロイド」は後年に大きな影響を与えた作品で、悪魔城ドラキュラ(Castlevania)シリーズと併せてメトロイドヴァニアというジャンルを築きました。悪魔城シリーズは全てが探索アクションというわけではないので注意です。
 

本作「フュージョン」をプレイする場合、GBAのオリジナル版以外には、GBA for Nintendo Switch Onlineに収録されている移植版があります

以前にはWiiUバーチャルコンソール3DS早期購入者向けのアンバサダープログラムで入手できましたが、今ではどちらも入手不可です。
 
初代・2・スーパーに続くシリーズ4作目。2Dメトロイドの完全新作としては、2021年にドレッドが出るまで長らくの間最後の作品でした。(初代のリメイク「ゼロミッション」と、2のリメイク「サムスリターンズ」は出てたんですけどね)

 

概要・ゲームシステム

基本的には過去のシリーズ作に準拠したゲームシステムです。広大で複雑なマップを探索し、隠された通路やアイテムを探しつつ、ボスを撃破して能力を解放。その能力を用いて新エリアへの道を切り開いていきます。
 
主人公はシリーズおなじみサムス・アラン。「メトロイドII」の舞台となった惑星SR388に棲む謎の寄生生物「X」に体を蝕まれ、命の危機に。緊急手術によって一命は取り留めましたが、「X」への耐性を得た代償に元の能力をほとんど失ってしまいました。

美麗なドット絵と共に導入が語られる

 
そんな中、宇宙生物研究所「B.S.L.」へ「X」が侵入する事件が発生。「X」に唯一対抗できるサムスが、増殖する「X」を殲滅しに向かうというストーリーになっています。
 
「X」は宿主となった生物の遺伝情報をコピーした後に殺害し、その生物に成り代わるという性質を持っており、本作に登場する敵はほぼ全てが「X」が擬態したものとなっています。

サムスは「X」への耐性を得るとともに、吸収能力を得たので、攻撃をして擬態を解除した「X」を吸収するとHPが回復するようになりました。前作までにおける敵を倒したときに出る回復アイテムの位置づけですね。
また、ボスの「X」を吸収すると、そのボスが持っていた能力を自身の能力として獲得できます。これは前作までにおける能力獲得イベントと対応しています。
 
研究所職員をコピーしたであろうゾンビのような敵や、惑星SR388の生物をコピーした敵、生体コアが「X」に乗っ取られた警備ロボットなど、全て「X」ではありますが、デザインや攻撃方法は多彩です。

ボスも「X」の擬態です

ボスはある程度攻撃を受けると、元の姿に戻って攻撃してきます

 

そして、宇宙生物研究所にはサムスの手術の際に切り取られたパワードスーツの残骸が保管されていました。これをコピーした「X」が、以前のサムスそっくりに擬態し、「SA-X」として登場します。「SA-X」は非常に強力なので、能力を失ったサムスは全く歯が立ちません。一方で知能はサムスそのものなので、出会ってしまうと襲撃してきます。遭遇シーンは恐怖心を煽る演出が取り入れられており、緊張感のあるイベントとなっています。

「SA-X」との遭遇イベントは人によってはトラウマになるかも

 
前作「スーパー」までと本作が大きく異なる点は、ストーリー性が大幅に強化された点でしょう。前作は基本的には自由探索で、シナリオの展開はゲーム中の演出で婉曲的に語るという手法が取られていました。
 

一方で、本作は明示的に文章を使って語られます。具体的には、各所に存在する「ナビゲーションルーム」で、AIが現在の状況や、次行うべきことを説明してくれます。

AIの言葉によって本作のシナリオが綴られていく

 

また、時折サムス自身のモノローグが入ります。

AIの指示に対してサムスは何を考え、どう行動するのか。本作のストーリーの大きなテーマとなっています。

サムス自身の言葉が綴られるのはシリーズ初です

ストーリー性が高まった影響で、本作は進行ルートがほぼ一直線になり自由度が減っています。前作には想定された進行ルートを外れて進める「シーケンスブレイク」と呼ばれるテクニックが多数ありましたが、本作には殆ど無いようです。

ただ、自由度が減った影響で探索すべき場所の候補が減り、進行ルートが分からなくて長時間詰まることは減った印象です。

 

良かった点

  • シークレットを探す喜び
     
    メトロイドシリーズの一番面白いところである、沢山の隠し要素を見付けていく楽しみが本作にもしっかりと受け継がれています。マップの怪しい空白や、不自然な壁の模様や凹みに目を付けては武器をぶつけてみたり、体当たりをしてみたり… 丁寧に隠し要素を探すと、それにしっかりと応えてくれます。
    個人的には前作の「スーパーメトロイド」がとても面白かったので、本作にも同様の探索の楽しさを期待していました。本作はその期待に十分応えてくれるものだったと思います。
    やはり「宝探し」は人間が本能的に楽しいと感じる行動の1つなのかもしれませんね。
     
  • 洗練されたアクション性
     
    本作のアクションゲームとして見た際の完成度は前作「スーパー」よりも高い水準に達していると思いました。
    特に、サムスの動作は前作よりも軽快になり、崖掴まり等の新アクションの追加のお陰もあって、快適に操作できるようになっています。
    更に、硬い敵や理不尽な動きをするボスが減ったり、ボス前にHPを回復する要素が配置されたりなど、レベルデザインの面でも改善されていると思います。
     
  • ダークで魅力的な世界観とストーリー
     
    ダークで深淵を覗く恐怖を感じさせる世界観はメトロイドシリーズの大きな魅力の一つです。
    本作は宇宙ステーションが舞台なので、惑星を舞台とする過去作にあった得体のしれない場所を探索することへの恐怖・ワクワク感は多少薄れてしまっています。しかし、AIとの会話・サムスのモノローグと、ダイナミックに展開する緊迫感あるストーリーが、過去作とはまた一味違うダークSFの良さを引き出しています。
    特に、ラストの胸が熱くなるような展開はお気に入り。ドラマとして見ても、SFとして見ても素晴らしかったです。
     
  • ロケーション・敵の多彩さ
     
    本作は宇宙ステーションを舞台としながらも、多彩なロケーションのレベルが用意されています。
    宇宙ステーションの生物研究エリアは6つのセクターに分かれていて、それぞれに明確なテーマが設定されています。例えばセクター1(SRX)が惑星SR388を再現した区域となっていたり、セクター4(AQA)が水棲生物を研究する区域になっていたり……
    セクターが違えば雰囲気も出てくる敵も登場するギミックも異なるので、宇宙ステーションを舞台としながらも前作までと同じくらい多彩なレベルを楽しむことができます。
     
  • テンポの良さ
     
    ストーリー要素によって進行ルートが一本道になり、迷い辛くなっています。
    そのため、テンポよくゲームが進みます。長時間迷い続けるのはストレスなので、この点に関しては良かったと思います。
     

気になった点

  • 自由度の低さが目につく
     
    本作は進行が一本道で自由度が低いのは先述した通りです。ただ、実際は前作「スーパー」もやり込みプレイヤーでない限り、ほぼ全員が同じような攻略手順を踏みます。つまり、初見プレイヤーにとっては実質一本道なんですよね。
     
    しかし、本作は同じ初見でも「スーパー」よりも自由度が低いと感じてしまいます。その理由は明白で、本作のプレイには迷う余地が無いからです。常に分かりやすく次の行き先や目的が提示され、目的地までの経路上にも迷う原因になりそうな脇道がありません。
    目的地に着いた時、まだ探索していない脇道が残されていると「あっちに行ったらどうなってたんだろう?」と考えることありますよね?
    選ばなかった別の選択肢が残されていて、そちらを選んだら別の可能性があったかもしれない…… そう想像できることこそが「自由度」なのではないか。私はそう考えています。
     
    テンポよく進む半面、「敷かれたレールに沿って進んでいる」と強く感じさせてしまうストーリー要素はやはり功罪どちらもあると思います。
     

総評

ストーリー要素による独自の良さを発揮しながらも、シリーズの持ち味も生かした良作だと思います。
探索アクションゲームとしての完成度が純粋に高いので、シリーズの他作品を気に入った方は勿論、メトロイドヴァニアというジャンルが好きな方にも問答無用でおすすめです。
 

ゲーム音楽ピックアップ

  1. Underwater Depths
    セクター4(AQA) の海中エリアで流れる曲。ダークでありながら、神秘的な雰囲気のサウンドが強烈。このエリアはビジュアルも含めて作中で一番好きです。
     
  2. Escape!
    脱出の曲。リドリー戦のアレンジも入ってカッコいいですね。

 

【ゲームレビュー68】メイド イン ワリオ

レビュー一覧

ジャンル 瞬間アクション(ミニゲーム集)
メーカー/ブランド 任天堂
発売年 2003
ハード GBA, Switch , (WiiVC, 3DSVC)
お気に入り度(0~10) 7
プレイ状況 全ゲーム解禁 / Switch版 (GBA for Nintendo Switch Online)

 

 

偶々今まで触れてこなかったシリーズなので、Switch Online+ に加入したのをきっかけに即プレイ。

最初からコンプリートを目指そうとしてしまう悪い癖が出てしまったせいで苦しむ羽目に……

  

メイドインワリオ とは?

www.nintendo.co.jp

任天堂ゲームボーイアドバンス用ソフトとして2003年に発売した「瞬間アクション」ゲームです。内容は後述。

本作をプレイする場合、GBAのオリジナル版以外に、GBA for Nintendo Switch Onlineに収録されている移植版が選択肢になると思います。

以前にはWiiUバーチャルコンソール3DS早期購入者向けのアンバサダープログラムで入手できましたが、今ではどちらも入手不可です。

 

なお、本作は人気を博したことでシリーズ化し、今までに約10作品が出ています。

作品ごとに異なるコンセプトはあれど、作品の根本的な面白さはシリーズに一貫するものがあると思うので、他作品が手に入るならそちらを検討しても良いと思います。

 

概要・ゲームシステム

「瞬間アクション」と銘打たれたミニゲーム集的作品です。

メインとなるゲームモードは、5秒で終わるプチゲームを次々にプレイするもの。提示されるお題と画面を見て何をするのかを一瞬で判断し、素早い操作が求められるので疾走感のある遊び心地。残機が尽きる前にどこまで続けられるかを競うアーケードゲームライクな構成となっています。

 

収録されているプチゲームはルールも操作も単純。ゲーム初心者の方でも全く問題なくプレイできます。

全体的にどこかおバカな雰囲気が漂っているのが大きな魅力。「はなのあな」は本作の紹介で頻繁に登場し、今ではすっかりメイドインワリオシリーズの華(鼻?)になりましたね。

タイミング良くボタンを押して"はなのあな"に指を入れろ!

ゲームに貶すことを要求される日が来るとは思ってもみませんでした

 

メインモードはメニュー画面にある各キャラクターのアイコンを選ぶことでプレイできます。キャラクター別に「ジャンル」が決まっており、そのテーマに沿ったプチゲームが(基本的に)25個用意されています。これらのプチゲームは該当するキャラが作ったものという設定になっています。

キャラごとにコンセプトの違うプチゲームが登場します

ステージを選ぶと、そのキャラクターのストーリーが鮮やかなドット絵のムービーで描かれます。そして、ムービー中のワンシーンからシームレスにプチゲームへと移行します。

急いでいたら警察に追われてしまい…

パトカーにバナナの皮を投げろ!という体でプチゲームがスタートする

 

ランダムに登場するプチゲームを一定数こなすと、ボスステージに突入。このステージではやや長いプチゲームをプレイすることになります。

個人的に興奮したボスステージ

ボスステージを見事突破すると、そのキャラのステージはクリアです。

次のステージがプレイできるようになったり、サブのミニゲームが解禁されることも。

クリアしたキャラのステージを再プレイしてスコアを詰めたり、後述する「ずかん」を埋めるのも良いですね。(再プレイして一定スコア以上取ることで解禁される要素も…?)

  

さて、メインゲーム以外の要素にも触れていきましょう。

まずは豊富なサブミニゲームから。本作のメインゲームを進めていくと解禁されるサブのミニゲームは言ってしまえば普通のアーケードライクなミニゲームです。

ただ、クオリティが高いものが多いのでサブミニゲームだけでずっとやり込めるくらいの充実感があります。特に「紙ヒコーキ」や「PYORO & PYORO2」はそれぞれ単体で抜き出され、DSiウェアとして移植されたことがあるほどの完成度を誇っています。

「鳥とマメ」としてDSiに移植された「PYORO」

更に、ゲーム&ウォッチより前に任天堂が開発したアーケードゲームシェリフ」が移植されて収録。凄く貴重なものを遊んだ気分になれます。

貴重なレトロゲームシェリフ」 浅学故知りませんでした

また、名作落ち物パズルDr.Mario」が「Dr.Wario」とアレンジされて収録されています。サプライズ感が凄い。

"Dr.Wario" はデザイン以外は原作と一緒。同様に楽しめます

それ以外にも、マリオペイントに収録された「ハエたたき」の移植や、1台のGBAを使ってふたりで遊べるミニゲームを複数収録する等レパートリーは豊富。メインゲームと匹敵するくらい遊びの要素が詰まっています。

対戦ゲーム「ちりとり」

 

さて、最後に「ずかん」の要素を紹介します。

これは、メインゲームの各キャラのプチゲームの内で、一度でも見たことがあるものが自動的に記録されていくモードです。

「ずかん」画面

そして、ここからが重要なのですが、「ずかん」に記録されたプチゲームは単体でプレイすることができます。つまり、同じプチゲームをひたすら遊び続けるモードですね。だんだんと速度が上がっていくので、いつかは限界がきてクリアできなくなります。その限界に挑戦するモードです。ちゃんとスコアも記録されるので、メインモードで苦手なプチゲームを練習するもよし、スコアを詰めるもよしです。

 

………だったらどれだけ良かったか!!!
この「ずかん」モード、コンプリートを目指す場合は実質的な「本編」となります。
言い換えると、プレイ時間のほぼ全てがこのモードに費やされるという事ですね。

このモードでは各プチゲームに「合格点」が設定されています。これを超えると、該当するプチゲームに花のマークが付きます。そして、「PYORO2」は200以上ある全てのプチゲームに花を付けることで解禁されます。

この仕様に対しての感想は後述します。

 

良かった点

  • 疾走感のあるメインゲーム
     
    一瞬ですべきことを判断、適切な行動を取る必要があるメインゲームの構成が優れていて、疾走感がありアドレナリンが出ます。
    初見だと難しく、慣れると出来るようになるバランスのプチゲームが多く、挑み続けているうちにどんどん最高到達地点が伸びていくのも楽しいです。
     
  • 至る所に仕組まれたネタ要素
     
    「ネタ」があらゆるところに仕組まれているのも大きな魅力です。直球で笑いを取りに来るネタは勿論、任天堂作品を多数プレイしているからこそ分かるニッチなネタも多いです。次はどんなプチゲームが出て来るのか? とワクワクしながらプレイできます。
     
  • 愛着の湧くキャラクター達
     
    本作の登場キャラクターたちの紡ぐストーリーは非常に短く、深いわけでもないですが、ユーモラスで愛らしく、情緒豊かに描かれます。
    プレイ後にはキャラクターたちの事をなぜか好きになっている自分がいることに気が付くでしょう。
     
  • 充実したサブミニゲーム
     
    先述した通り、サブのミニゲームの充実感はメインゲームのボリュームに匹敵するほどです。
    「PYORO2」は個人的に本当に大好きなミニゲームなのでぜひプレイしてみてください!! ( 解禁が苦しいのですが… )
     
  • グラフィックと音響
     
    作品を通して画面をいっぱいに使った色彩豊かなグラフィック表現がされ、視覚的に非常に楽しいです。
    音響面も非常に凝っていて、何と歌が流れるシーンまであります。
     

気になった点

  • 「PYORO2」の解禁条件
     
    先述した通り「PYORO2」の解禁には、「ずかん」ですべてのプチゲームで合格点を取る必要があります。
    これが非常に大変で、個人的には苦痛でした。まず、「ずかん」では同じプチゲームを連続でプレイするという都合上、「次は何のプチゲームが出てくるんだろう?」というワクワク感がありません。また、とっさの判断もメインゲームに比べると要求されなくなるので、緊張感も薄れます。結局、作業感が強くなってしまい、心を無にして黙々と埋めるようになってしまいました。
     
    まぁ図鑑モードは続編にも採用されているので、私に合わなかっただけの可能性は大いにありますが……
     

総評

ミニゲームを高速でプレイさせるという新しいジャンルを提示した作品です。その試みは大成功と言ってもよく、普通に遊ぶ分には間違いなくオススメです。
ただ、コンプリートを狙う場合は相当の作業感を覚悟したうえで手を出した方がいいと思います。
続編もプレイしたい。
 

ゲーム音楽ピックアップ

  1.  声の漂う波間まで
    タクシーステージの曲。歌入りでびっくりしました。
    サイバーパンクな雰囲気と、GBA音源の多少掠れた音声の相性が抜群!!
    ハードの制約が生み出した素晴らしい演出だと思います。

 

【ゲームレビュー67】Squirrel Stapler

レビュー一覧

ジャンル 短編ホラーハンティングシム
メーカー/ブランド David Szymanski
発売年 2023
ハード Win(Steam)
お気に入り度(0~10) 7+
プレイ状況 クリア / Steam版

 

 

「神が来る」のフレーズに惹かれてプレイ。無事神に出会えました。

 

Squirrel Stapler とは?

store.steampowered.com
Steamで配信されているWin向けのホラーハンティングシミュレーターです。

短い作品で、クリアまでは1h程。

開発者のDavid Szymanski氏は「DUSK」で有名な方ですね。

現在(2023/11/10) 日本語はなく、英語のみの対応です。ゲーム中にフレーバーテキストが多く存在する作品で、一部じっくり読くことができないテキストもあるので、100%楽しむには相当の英語力が必要そう。ただ、読めなくても作品の本質は楽しめます。

幸い、翻訳をしてくださった方がいるので、以下のページを参考に眺めつつ遊ぶといいと思います。

ashi-yuri.hatenablog.com

概要・ゲームシステム

森の中を歩き回り、ライフルでリスを狩るハンティングシムです。作者のDavid Szymanski氏はオールドスクールな3Dゲームを多数開発しており、本作もその例に漏れずローポリゴンで描かれる世界が舞台です。

Buildエンジン時代を彷彿とさせるグラフィックです

さて、プレイヤーは5日間、不気味な森の中で毎日ひたすらリスを狩り続ける単調な生活を体験することになります。

リス達はこちらの動きに敏感で、不用意に近づくとすぐに逃げてしまいます。更に、手元にあるライフルも毎回長いリロードが挟まり、弾丸も5発までしか持てない不便な代物。トリガーハッピーでリスをどんどん倒していくという訳には行きません。

狩るためには、しっかりと耳を澄ませてリスの鳴き声を聞き、場所を推測。ゆっくりと近づいて一発で仕留める必要があります。

 
森の中にはいくつも廃屋が残されていて、中には不気味な文書が落ちています。文書の内容は毎日変わるので、毎日の廃屋巡りを日課に加えるのもいいですね。それ以外にも、シークレット要素があるのでじっくり探索するのも良しです。

書かれている内容も奇天烈なので、英語力があっても理解できないかも

さて、狩りを終えたら、家に戻ってその日の目的を達成しましょう。

目的とは、家で待つ恋人にリスをホッチキスで留めること。美しいリスに彩られて日々美しくなっていく恋人をうっとりと眺めたら、薄汚い部屋の奥にあるベットで眠り、次の日の狩りに備えましょう。


そんな日々を過ごしているうちに、森には狩り取られたリス達の怨念が漂うようになります。当然怨念もライフルで処理できますが、彼らは死体を残さないので邪魔でしか無いです。さっさと狩りを済ませましょう。
 

そして、5日目。神が降臨します。
 

良かった点

  • 不気味な森と「狩り」の抜群の相性
     
    本作の舞台は不気味な森。ローポリなのも相まって雰囲気は抜群。
    あまりじっくりと探索したくない気持ちになります。
    一方で、狩りのためには森を隅から隅まで歩き回り、じっくりと神経を集中して周囲のリスの気配に気を配る必要があります。この時の心理状態がホラー演出を楽しむのにはぴったりで、時たま現れるリスの怨念の襲撃やちょっとした演出に最大限びっくりすることができます。(ジャンプスケア嫌いには堪ったものでは無いかもしれませんが…)
    敵の襲撃で減ったHPや弾丸はフィールド上にある補給ポイントに向かわないと回復できないので、安全地帯でずっと隠れている訳にもいきません。アクションゲームとしても中々スリリングなプレイ感のある作品に仕上がっています。
     

  •  
    会いたくないですか? 私は出会えて良かったです。
     

気になった点

  • やや単調
     
    日を経るごとに多少の変化や毎日変わるテキスト等の要素はあれど、それでも基本は同じリスを狩り続けるだけなので、やや単調です。その単調さも演出なのかもしれませんが…(?)
     

総評

短い作品なので、興味を持った方であればオススメです。

貴方も神に会いに行きましょう。

 

ゲーム音楽ピックアップ

音楽ではありませんが、例のシーンの音の演出は良かったです。


 
 

【ゲームレビュー66】スーパーマリオブラザーズ ワンダー

レビュー一覧

ジャンル 2Dプラットフォーマー
メーカー/ブランド 任天堂
発売年 2023
ハード Switch
お気に入り度(0~10) 8
プレイ状況 100%クリア(バッジ6個) / Switch版

 

 
Ninetendo Directで最初の紹介映像を見た時から気になっていた作品です。
明確で強烈なコンセプトが提示されているとやっぱり遊んでみたい!という気持ちになりますね。
インディーゲームでは頻繁に行われている手法ですが、ここまでのビッグタイトルでやってくるのは珍しいかも…?
久しぶりにパッケージタイトルを発売日購入した気がします。

 

スーパーマリオブラザーズ ワンダー とは?

www.nintendo.com

www.youtube.com 
2023年10月20日にSwitch向けに発売された説明不要なマリオシリーズの最新作です。
FC「スーパーマリオブラザーズ」から続く2Dマリオ作品としては、”U”シリーズ以来およそ10年ぶりの完全新作です。
パッケージ版の他、DL版も配信されています。
 

概要・ゲームシステム

大体は上に掲載した「スーパーマリオブラザーズ ワンダー Direct」を見れば分かります。私はこれを見て購入を決めたので、とりあえず気になっていれば見ましょう。
 
ベースとしては、「3」「ワールド」辺りで確立され「Newマリ」へと続く、いつもの2Dマリオシリーズの系譜の作品です。「Wii」のように多人数プレイも可能です。
ワールドマップ中に配置されたアスレチックコースを巡り、各ワールドのラストではボス戦。複数種類のパワーアップ、隠しゴールによる分岐要素、特殊なコインの収集要素…… 過去作のお約束は本作でもしっかりと踏襲されています。

 
そんなシリーズの伝統をある程度守りつつ、「ワンダー」という新システムを投入してマンネリを打破。強烈な個性のある作品に仕上がっているのが本作「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」です。

 
本作には各コース中に「ワンダーフラワー」というアイテムが1つずつ配置されています。これを見つけ出し、取得すると「ワンダー」がスタートします。

 

「ワンダー」の内容は多種多様。上の動画で紹介されているように、土管が動き出したり、敵がたくさん現れたり、中にはマリオ自身が変身してしまうものまで。コースごとに全く違う面白い仕掛けの数々が待ち受けています。

ワンダーフラワーを取ると…

ワンダーがスタート!不思議な出来事が起こります

「ワンダーシード」を獲得するとワンダーは終了。「ワンダーシード」は本作のメインの収集要素となっており、ステージをクリアした際や、隠しゴールを見つけた際にも貰えます。
 
ワンダー以外にも本作独自の面白い要素として、各地に登場する喋る花「おしゃべりフラワー」があります。この花はステージ中にたくさん咲いていて、有益な情報を教えてくれたり、ワンダーに対するリアクションをしたりなど、ゲームを盛り上げる役目を担っています。

おしゃべりフラワーが作品を盛り上げる

 

本作にはサブの収集要素として、「10フラワーコイン」集めがあります。これは、各ステージに3枚ずつ配置されている特殊なコインで、「ワールド」のドラゴンコインや「New」のスターコイン集めに相当するやり込み要素となっています。
「10フラワーコイン」はその名の通り、フラワーコイン10枚分の価値があるアイテムで、これを集めることで大量にフラワーコインが集められます。「フラワーコイン」自体については後述。

紫色のアイテムが本作の収集要素「10フラワーコイン」

 

シリーズ恒例、多様なパワーアップは本作でも健在。定番のファイアの他、近接攻撃ができるようになる「ゾウ」、床や天井に潜れるようになる「ドリル」、壁を貫通して攻撃できる「バブル」など、本作独自のパワーアップが用意されています。

本作の珍しいポイントとして、パワーアップ以外にもキャラクターの性能が変わる要素が用意されています。

まず、1つ目はキャラクター選択です。基本的には各キャラ同性能ですが、ヨッシートッテンは大きく異なる性能になっています。特に、トッテンはトゲや敵に当たってもミスにならないので、イージーモード的な役割を果たしています。

2つ目は、独自要素の「バッジ」です。これはゲームを進めると入手できるアイテムで、1つまでアクティブにでき、バッジごとに異なるスキルが発動します。ジャンプ力が上がるバッジや、付近に隠し要素がある事を教えてくれるバッジ、中にはマリオが透明になる用途不明なものまで。色々付け替えて攻略に役立てたり、縛りプレイをするのもいいですね。
 
本作にはシリーズ伝統の普通のアスレチックコースの他にも、特殊なコースが多数用意されています。

「バッジチャレンジ」ステージでは、特定のバッジをつけた状態でステージに挑むことになります。クリアするとそのバッジがもらえます。

「コロシアム」ステージでは、敵を倒して進むタイムアタックゲームをプレイします。掛った時間に応じて貰える10フラワーコインの枚数が変わります。

「みんなの広場」ステージは、隠されたメダルを5枚見つける探索ゲームをプレイします。オンラインで他の人とゆるく協力しつつ見つけていくのが定石です。

他にも特殊なコースはいくつも用意されていて、ヘビーな通常コースだけを遊んで食傷気味にならないように最大限の工夫がされています。

短く軽いステージが多数収録

ワールドマップ上には店が用意されていて、フラワーコインを使って買い物ができます。ここではバッジや残機が購入できるほか、「パネルくじ」を引くことができます。
「パネルくじ」はその名の通り「パネル」をランダムで入手できるくじで、入手したパネルはコースプレイ中に好きな位置に設置することができます。設置したパネルはオンラインプレイ時に他のユーザーが復帰地点として利用できます。これによってゆるい協力感が生まれ、大人数で遊んでいる感を多少味わえます。

店ではフラワーコインを使って買い物ができる

良かった点

  •  「ワンダー」がとにかく楽しい
     
    本作の売りである「ワンダー」が兎にも角にも楽しいです。「ワンダー」の内容は非常に多彩で奇抜、遊び心に溢れたものばかり。
    「ワンダー」の内容はそのステージのテーマとなっている敵やギミックを踏み台として作られている場合が多いので、このステージではいったい何が起こるのだろう?といろいろ想像しつつ、各ステージをワクワクしながらプレイすることができます。
     
  • 驚きに満ち溢れた多彩な演出の数々
     
    本作は「ワンダー」はもちろん、それ以外にも様々なところに意外性のある仕掛けや演出が仕込まれています。ギミックや敵も過去作では見たことのないようなものばかり。
    そして、ところどころで登場するマリオシリーズの伝統を逆手に取ったような演出は見事。過去作を多数プレイしているとより楽しめる構成になっています。
    「おしゃべりフラワー」のセリフやリアクションも、センス抜群で良いです。
     
  • 探索アクションゲームとして高品質なゲームデザイン
     
    本作は単純に探索アクションゲームとしてみた場合も高品質になっていると思います。10フラワーコインや隠しゴールの探しは、簡単にはわからないけれど、しっかりとステージを観察すると気が付けるバランスになっていて、理不尽さを感じさせません。もし見つからない場合も、中盤に手に入る「ダウジング」のバッジを利用することで隠し場所のヒントを得ることができます。
    メニューにあるステージ一覧で、そのステージにある10フラワーコインを取得したか、隠しコースを見つけたかなども確認できるようになっているので、コンプリートを目指す場合もストレスフリーです。
    コース内だけでなく、ワールドマップにも多少の隠し要素があるのも良かったです。
     
  • 多数の軽いミニコース
     
    本作には、普通のコース以外にもミニコースが多数用意されています。ミニコースは重厚な探索要素と「ワンダー」があるメインコースと比べると気軽にプレイできるバランスになっています。
    これらの存在により、メリハリが付いてダレずに・疲れずにプレイできるようになっています。
     
  • 孤独感を感じさせないオンラインマルチプレイ
     
    本作には「Wii」のようなオフラインでの多人数プレイの他に、ゆるいオンライン要素が付いています。
    これは、現在プレイしている他のユーザーが「ライブゴースト」としてプレイ中に出現するもので、エモートを送り合ったり、ミス時に助けたり、「パネル」を置きあって協力したり・・・ その場で出会った人々とゆるい連帯感を持ちながらゲームを進められるようになっています。
    オンラインにしないメリットは特に無いので、私は最初から最後までオンラインでプレイしていました。
     
     

気になった点

  • ゲームの展開やストーリーには特に驚きがない
     
    割と難癖のような不満点なのですが、本作には作品の根幹を大きく変えてしまうような超巨大な「ワンダー」がストーリーラインに仕込まれているのではないかという期待が私には有りました。 (クッパが超凄いワンダーの存在を仄めかすので尚のこと期待が膨らんでいました)
    しかし、最後まで遊んだ結果、そういったものは無く、いつものマリオシリーズだったのでちょっと残念でした。そのため、作品全体として愛着が湧いたり、記憶を消してやり直したい!と思える程に心惹かれる強烈なシーンがあるかと問われるとNOです。それぞれのワンダーはびっくりするし、プレイしている瞬間は楽しいんですけどね・・・
     
  • フラワーコイン集めの効率的方法がない
     
    本作で通貨として扱われる「フラワーコイン」ですが、これを効率的に、なおかつ無限に集める方法がありません。
    「10フラワーコイン」は一度きりですし、フラワーコイン集めのミニゲームも回数制限が有ります。そのため、パネルコンプリートを狙う際にフラワーコインが足りないと、苦行とも言えるフラワーコイン集めをすることになります。
     

総評

完成度の高い2Dマリオシリーズの傑作だと思います。
特にプレイ開始直後の「ワンダー」の衝撃は凄いですよ。
おすすめです。

 

ゲーム音楽ピックアップ

ネタバレになりそうなので、曲名だけにしておきます
 
1.  ワンダー2-パックンマーチ
2.  ワンダー18-メタルマリオ
3.  城クッパエリア



 
 

【ゲームレビュー65】Viewfinder

レビュー一覧

ジャンル 一人称3Dパズル
メーカー/ブランド 開発: Sad Owl Studios / 発売: Thunderful Publishing 
発売年 2023
ハード Win(Steam) / PS5
お気に入り度(0~10) 6+
プレイ状況 クリア/Steam版

 

 

twitterでプレイ映像を見たことがあり、気になっていたのでセールをきっかけに購入

4hほどの長さでしたので、2日に分けてプレイしてクリアしました

 

Viewfinder とは?

store.steampowered.com

www.youtube.com 
Sad Owl Studios が開発。2023年に発売された3D一人称パズルゲームです。
SteamでWin版が、コンソールではPS5版が発売されています。内容は恐らく差が無いと思われます。
日本語ローカライズ有。翻訳の質は、非常に良いという程ではないが、機械翻訳レベルは遥かに超え、遊ぶのに全く問題無いレベルです。
 

概要・ゲームシステム

カメラが本当に世界をそのまま切り取る機械だったら?というコンセプトを推し進めたようなシステムが特徴の一人称パズルゲームです。

パズルと解く際に鍵となるのは「写真」と「インスタントカメラ」の2つのアイテムです。

写真は、カメラで撮るか、ステージ中に落ちている物を拾う事で入手できます。そして、写真を目の前に掲げ、手放すことでその場に写真の中の空間が再現されます。このシステムが本作の目玉ですね。

写真を目の前に掲げて手放すと…

写真の中にあった空間がその場に再現される!!

インスタントカメラは、ステージ中の写真を撮ることができるアイテムです。撮った写真は再びステージ中に再設置することができます。

各ステージごとに撮る事ができる写真の枚数が決まっているので、どこを撮ってどう使用するか? 写真をどう節約するか?が問われる構成になっています。

 

各ステージには、ワープ用のマシンが設置されていて、このマシンを起動することで次のステージに進めるようになっています。マシンには電源が必要だったり、そもそも壁にワープマシンがくっついていたり…… カメラと写真を駆使してステージをクリアしていきましょう。

奥に見えるのがワープマシン。当然写真を撮ることで複製できます

 

ステージには、たくさんの変な写真が置かれています。中には絵画や、ゲームの画面など、写真ではないものまで。これらも普通に写真同様に設置することができ、おかしな空間がそこに再現されます。

設置するまで何が起こるか分からないので、これらの変な写真を手に入れた際には、まるでびっくり箱を前にした時ようなドキドキ感があります。

子供の書いたような絵を設置すると…?

 

絵の見た目そのまんまの家が再現!

その他、錯視や遠近法を利用したおかしなギミックも多数仕込まれています。この辺はSuperliminalに近いですね。

階段だと思って近づいたら絵だった!なんてことも

 

本作はパズルがメインですが、ストーリー要素も用意されています。

内容には触れませんが、ステージ中に残された資料とボイスメモ、そして作中で出会うあるキャラクターとの会話がメインで進行します。

 

更に、多少のシークレット要素と、多数の実績が用意されています。

シークレットはステージ中に隠されたアイテムを探すシンプルなものです。

実績は、ステージ中にあるギミックを用いて特定の行動をすると解除されるものが多いです。カメラと写真を使って色々遊んでいるうちに解除されることが多いです。

 

良かった点

  •  「空間を切り取り、再設置する」新鮮な体験
     
    本作のゲームプレイのメインとなる写真とインスタントカメラのシステム。これが斬新で新鮮、このシステムを体験できること自体が作品の強力なアイデンティティになっています。
    特に最初は、つい色々試したくなってしまい全然前に進みませんでした。それだけただ触っているだけで楽しいゲームシステムに仕上がっていると言えると思います。
     
  • 多数の変な写真と、遊び心に溢れた実績
     
    作中に登場する多数の変な写真(絵など)は、設置するまで何が起こるか分からない、びっくり箱を前にした時ようなドキドキ感があります。
    中に何らかの固有ギミックが仕込まれている写真も多く、例えば ムンク「叫び」を設置すると周囲にうるさい叫び声が響き渡ります。
    手元にカメラがあると、「叫び」を沢山複製して、もっとうるさくしてやろうとつい考えてしまうのがプレイヤーの性。実際にこれをやってみると、実績: 「悲鳴楽団」が解除されます。

    このように、本作にはプレイヤーがついやってしまう遊び心のある行動に対してしっかりと実績が用意されています。この実績の存在により、カメラと写真を使って好奇心の赴くままに遊ぶ行動が無意味な時間の浪費ではなく、有意義な行動となっているのが素晴らしいです。
     

気になった点

  • ストーリー要素
     
    本作のストーリー要素はコンテンツ量自体は結構多いのですが、説明不足なのか私の理解力が足りないのか、最後までプレイしても結局何がしたかったのかよくわかりませんでした。
    世界観の概要はつかめたのですが、分かりやすいストーリーの流れが無いです。そのため、世界観の説明だけをして終了したイメージになってしまっています。SFな世界観なので、ワクワクするアイデアに溢れた設定を提示してくれればまだ良かったのですが、その点も至らないかな…という印象です。
    また、ラストの少し前に盛り上がるシーン(と開発が想定してあるであろうシーン)が用意されていたのですが、驚くほど心動かなかったので、作中の雰囲気とのギャップから、少し寂しい気持ちになりました。一番最後のステージの盛り上がりは素直に楽しめたので、これに関しては多少挽回と言ったところでしょうか。
     
    ストーリー要素に期待してプレイするのはあまりオススメしません。
     
  • 「Superliminal」が強すぎる
     
    かなり残酷な指摘なので、書くか迷ったのですが…
    本作は3D不思議体験ゲームとしては「Superliminal」に影響を受けていると思います。本当に影響を受けてるかは定かではないですが、当該作品をプレイしている人であれば、ほぼ全員がそう感じるのではないかな……と思う程度には類似の要素が登場します。
    そして、ここからが問題なのですが、本作は不思議体験ゲームとしては完全に「Superliminal」に届いていません。それどころか、本作の不思議体験要素はほぼ全て「Superliminal」で登場しています。そのため、既視感を覚えることが多かったです。「Superliminal」がアイデアに溢れた作品だったため、多少被ってしまうのは仕方ないにしろ、本作独自の面白要素が欲しかったです。
     
  • パズルがやや単調
     
    パズルに関しては、堅実な完成度になっていて、パズルゲームとしてちゃんと遊べます。難易度もちょうど良く、詰まってしまうことがない絶妙な調整です。
    ただ、ステージの構造を把握すると順当に答えが分かるものが多く、解法のレパートリーが少ないので作業感のあるステージも多いです。
    また、解法が鮮やかで感動するようなステージがほとんど無いのが残念でした。ただこのように感じるのは、「スイカ」の登場するステージが突出して素晴らしい完成度だったからかもしれません。
     

総評

ストーリー / 不思議体験 / パズル の全ての面で本作独自の強みに欠け、Portalライク/ Superliminalライクなゲームとして総合的に見るとイマイチかなぁ…という印象の作品です。

ただ、コンセプトである写真とカメラのシステムは新鮮で面白く、このシステムで好奇心の赴くままに楽しく遊ぶ場としては非常に良く出来ていると思いました。

トレーラーをみて、シンプルにこのゲームシステムに触れてみたいと感じた人にはお勧めです。

 

ゲーム音楽ピックアップ

本作の楽曲はlo-fiなアンビエント寄りの楽曲が多いです。
そのため、あまり印象に残った曲はありませんでした。


 

【ゲームレビュー64】ハコボーイ! もうひとハコ

レビュー一覧

ジャンル パズルプラットフォーマー
メーカー/ブランド 開発:HAL研究所/発売:任天堂
発売年 2016
ハード 3DSダウンロード専用ソフト(コレクションパッケージ版有)
お気に入り度(0~10) 6+
プレイ状況 全ワールドパーフェクト(王冠全取得)クリア/3DS DL版

 

 
プレイ開始が2023/03/29だったみたいなので、実に半年ほどかけてクリアしたことになります。総プレイ時間が5h程なので、つまみ食いみたいな感じでプレイしていたことがよくわかります。

 

ハコボーイ! もうひとハコ とは?

youtu.be

www.nintendo.co.jp 

カービィシリーズで有名なHAL研究所が開発、任天堂3DSのダウンロード専用タイトルとして2016年に発売したパズルプラットフォーマーです。「ハコボーイ!」の続編でシリーズ2作目です。更に、3DSで続編として「さよなら!ハコボーイ!」が、Switchのダウンロード専用タイトルとして「ハコボーイ&ハコガール!」が発売されています

3DSの3タイトルをまとめたパッケージ版も発売されていますが、現在(2023/10/13)プレミア価格が付いてしまっています。ただ、DL版は販売が終了しているのでこれを探して購入する以外にプレイ方法はありません。

 

概要・ゲームシステム・短評

基本のシステムは前作「ハコボーイ!」とほぼ同じです。以下の記事に書いてあるので、省略します。

spd-game.hateblo.jp

前作との最大の相違点は、ハコを2つまで出せるようになったことです。前作にも終盤の一部ステージで2つのハコが利用できるステージはありましたが、本作ではすべてのステージが2つのハコを駆使して進んでいく構成になっています。

ハコ1つではクリア不可能なステージが待ち受ける

ハコが2つになったことにより、前作よりもパズルの自由度が格段に上昇し、前作をクリアした人でも唸る骨太な難易度になっています。前作をプレイしていることがある程度前提になっているとは思いますが、難易度曲線は比較的緩やかなので本作からプレイしても問題ないようには調整されていると思います。

 

ワールド数は全部で16で、前作よりもやや少ないです。登場するギミックも前作からの流用が多く、特に目新しい物はないです。そのため、プレイフィールは前作に近く、前作の追加コンテンツを遊んでいるような気分になりました。ただ、ハコが2つになったことにより解法の自由度が上がったため、前作よりもパズルと向き合っている時に感じる息苦しさは減った気がします。

 

システム面の変化としては、出せる2つのハコはそれぞれ色分けされるようになった点が大きいでしょう。これにより、盤面を把握しやすくなっています。

また、ショップには新たに「ハコ漫画」というコンテンツが登場しました。これは「ハコボーイ!」のキャラクターたちが登場する4コマ漫画になっています。これ目的でプレイするほどではありませんが、ちょっとしたおまけとしてはいい要素だと思います。

ハコ漫画

やり込み要素として、タイム/使用ハコ数/リトライ回数がワールドごとに記録される要素があります。評価が付くので、2周目に挑んでみるのもいいかもしれません。

全ステージの結果を合わせた総合評価もある

気になった点としては、前作をプレイしていると引き継がれる「ウサギ」「ニンジャ」のコスチュームの存在でしょうか。この2つのコスチュームは、身に着けるとそれぞれ、移動速度上昇/跳躍力上昇 の効果を得ることができます。特に後者は非常に強力で、使っていると多くのパズルがやや簡単になります。

使用しても特にデメリットは無いため、使わないと損な気がしてしまい、私はウサギを使っていました。使用せずに通常プレイするのが実質的に縛りプレイになってしまっているのは、あまり好ましくはないなぁと思います。このコスチューム自体は前作から存在したので、今更感のある指摘ですがね…

更に、前作を飛ばして本作からプレイした人にはこれ等のコスチュームは与えられないので、初心者に厳しく・経験者に優しい要素になってしまっているのも気になりました

 

結論としては、前作をプレイして楽しかった方にはお勧めな作品です。

ただ、今はパッケージ版の3作セット以外入手方法が無いので、1作品目を遊んだ人は本作もプレイすることになると思いますが……

続編の「さよなら ハコボーイ!」は様々な新要素が盛り込まれているらしいので、いずれプレイしたいと思います。楽しみ。

 

ゲーム音楽ピックアップ

強烈に印象に残る曲はありませんでしたが、エンディングの少し切ない雰囲気は好きです